黄昏

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 黄昏時。  そろそろと夜の闇が近づき、空が紫に染まるひと時。  学校帰りの弓香は、大通り横の歩道を歩いていた。片側に車線の大きな道路で、大型の車がひっきりなしに行き来していた。  車の音が煩く、排気ガスも酷いのでついつい早足になる。  ふと彼女が立ち止まったのは、何か声を聞いたような気がしたからだった。  周囲を見回した弓香は、向こう側の歩道から手を振る誰かに気が付いた。  背後にある市民公園の向こうに傾いていく夕日のせいで、顔ははっきりと見えなかった。  なんとか見えた制服姿から察するに、同じ学校の女子だとは気が付いた。  手を振るぐらいだから、きっとクラスメイトだわ。 「じゃーねー」  弓香は自分であることを分からせるため、大声で叫んだ。  だが、ひっきりなしに車が行き来する大通り。  果たして聞こえたかどうか。  大型トラックが彼女の目の前を横切った。  通り過ぎた後、その子はもう通りの向こうにいなかった。    英恵ちゃんか玲奈かな。  クラスでも仲良しの子を思い浮かべ、明日聞いてみようなんて思いつつ弓香は再び歩き出した。
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