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「いらっしゃいませ。何に致しますか? 」
俺が笑顔で接客するが、彼女はジッと俺を見つめて黙っていた。嫌な沈黙が数十秒ほど流れると‥
「ミ、ミルクココアをください」
「かしこまりました」
俺はとりあえず、無心でオーダーを受けた。そして
「ミルクココアお待たせしました。熱いので気をつけてください」
「あ、ありがとうございます」
彼女は軽くお辞儀をして、一番人気の少ない奥のテーブルに座ってすぐにスマホをいじりだした。すると‥
「ミズホちゃん、めっちゃ久しぶり」
バイト先の後輩が笑顔で彼女に話しかけた。彼女もニコッと微笑んで話し出した。どうやら2人は中学の同級生だという。正直高1の女どもには興味ないけどな‥
とりあえず仕事中だったので軽く注意をして仕事を再開させた。その後20分ほどして店内が混み合ったため彼女はそそくさと店を後にした。
少し気になった俺は仕事終わりに彼女の事を後輩に聞いてみることにしたが
「先輩、ミズホちゃんに惚れたんですか? 」
「違うよ」《っていうかあんな陰キャ相手にしても金稼げねえし》
ニヤリと笑みを浮かべる後輩に全力で否定した。まあ、後輩はからかいつつも彼女について教えてくれた。
名前は椎名みずほ。都内の超有名進学校に通っているそうだ。小学生の時に交通事故で両親が他界してしまい、一時は登校拒否や親戚の家を転々としていたそうだ。
「でも彼女の実家って結構お金持ちなんですよね。羨ましい」
通りで誰にも頼らずに進学や不自由のない生活が出来るみたいだ。俺は無性に騙したいという気持ちに駆られ、下を向きながらニヤリと笑った。うぶな女子高生なら容易く大金を稼げる。俺は遠回しに
「じゃあ、今度良かったら友達も交えてご飯行こうか? 」
初めは唇を尖らせてふてくされた表情を見せていたがそこは俺のテクニックで何とか誤魔化してやった。
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