22人が本棚に入れています
本棚に追加
第2話 過去
俺の両親はクズ野郎だ。母親は幼い俺を残して若いホストと駆け落ち。俺は父親と共に木造ボロアパートでの生活が始まった。
「直樹、美味しいか? 」
「うん」
俺は父が作った焦がした卵焼きとご飯を笑顔で食べていた。家事なんてしたことなかった父は不憫な思いをさせまいと必死に仕事の合間を使って家事や育児を頑張ってくれていた。
だがそんな幸せは続かなかった。
俺が部屋でテレビを見て父の帰りを待っていたときだ。
ガチャ
「ただいま。直樹いるか? 」
この日、何故だか俺の嗅覚を刺激するほどの香水の匂いを感じ、顔を引きつらせていると
「実は紹介したい人がいる」
髪をブラウンに染めた、20代前半くらいの派手な女性が笑顔でやってきた。
「初めまして宮野博美です‥ 」
父は真剣な表情で彼女を紹介した。何でも行きつけのスナックで働いている従業員だそうだ。幼い俺にそんな難しい世界など解るはずもなく聞き流していた。
それから少し経って、彼女と父でアパートに荷物を運び込んでいた。どうやら一緒に住むようだ。彼女は同棲していた彼氏からDVを受けていたみたいでスネや肩に痛々しい青あざが残っていた。
最初のコメントを投稿しよう!