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雪がつもった通学路を考え事をしながら歩いていく。
もう12月も半ばに入り、周りの景色も冬景色となっていた。
「ユウ、おはよう!」
「わっ。おはよう、リンちゃん。驚かさないでよ」
「ふふふ、前にユウがいたからね」
後ろから来た幼なじみの宮本鈴に驚かされてしまうほどには集中していたみたい。
そうそう、僕の名前は藤堂悠っていうんだ。高校生さ。
僕はリンちゃんと会話しながら考え事をする。
「……ねぇ、ユウ。何かあったの?」
「へっ? ちょっと考え事」
「ふぅん。私には教えてくれないんだ」
「……そうだね。今日の放課後、うちに来れる? そこで話したいことがあるんだ」
「いいわよ」
そこからは学校に着くまで別の話題に変わった。
僕とリンちゃんは幼稚園からの幼なじみ。昔からリンちゃんは可愛かった。それに僕らは仲が良かった。
でも僕には彼女に言っていない秘密がある。とっても大事な秘密。
今日こそそれをリンちゃんに伝えようと思う。
「お邪魔しまーす」
「いらっしゃい、リンちゃん」
放課後、リンちゃんは一度帰ってから僕の家にやって来た。
「ユウの部屋っていつ来てもきれいよね」
「掃除はまめにやってるからね」
さて、本題に入ろうかな。
「今日はリンちゃんに言いたいことがあったんだ」
「……言いたいこと」
「……うん。実は……僕、女なんだ!」
「…………へっ!? え~~~~~~! 嘘でしょ!?」
「本当だよ。なんなら見せてあげようか?」
「ユウが女の子だったなんて今まで気づかなかった……」
「それでね、リンちゃん。幼稚園の頃に僕と大きくなったら結婚するって言ってくれたでしょ。嬉しかったけど僕は女だから結婚出来ません。ごめんなさい」
「ユウは私のことが嫌いなの?」
「ううん、好きだよ。でも僕は女だから」
「私のことが好きなら大丈夫よ。だって私、バイだから」
「えっ? バイって?」
「私、恋人は男でも女でも大丈夫ってことよ」
「え~~~~~~!」
「さて、それじゃあ見せてくれるんでしょ?」
「へっ? あっ、ちょっと待って」
「待たないわよ~~」
「あっ~~~~~~!」
結局、僕たちは付き合うことになりました。
後日、学校でいろいろとばれた時に一騒動があったけどそれはまた別の話。
あっ、結構幸せだよ。
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