一件目

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一件目

とある高校の少し寂びれた校舎の中。二人の少年たちが机を並べ向かい合って座っていた。 「なぁ秋斗、もう帰ってゲームしようぜ」 僕は大きな声でそう言いうと、手に持っていたシャーペンを机の上に置いて、椅子の背もたれにもたれ掛かるようにすると、僕の前で座って本を読んでいる少年に話しかける。 「宿題を忘れた空斗が悪いんだろ。待っててやるから早くしろ」 「う、ありがと…」 明人から返って来た言葉に、僕は渋々ペンを拾いなおすと、一度は解いた問題を埋めていく。 そんな日常を打ち砕くように教室のドアが開く音がして、その先から女生徒の姿が現れる。 「失礼します。あの探偵部ってここですか?」 女生徒の言ったその言葉に、僕と秋斗は顔を見合わせ、椅子から立ち上がって言葉を放つ。 「ようこそ学校探偵部へ」
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