三件目

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「そう、お姉ちゃんの」 「……僕はそのお姉さんとも、お相手の人とも面識が無いですし、どうして探偵部に依頼を?」 「一応、両方とも顔は知ってると思うんだよ」 「と言いますと?」 「お姉ちゃんは、生徒会長の野々原美里だから多分この学校だと一番有名な生徒だと思うし、相手の男性は渡辺和也先輩」 「渡辺先輩って、放送部の渡辺先輩ですか?」 「そうその渡辺先輩。この前一緒にラジオしてたし面識はあるでしょ?」 「まあ、一応渡辺先輩の方は面識ありますけど、でも生徒会長の方は面識ないですよ?」 「そこはもう、妹なんで、私も頼む立場だし、何んとかするよ」 美咲先輩は自信満々に手を組んで言うが、僕は何とも乗り気になれなくて、質問を飛ばす。 「でも、それこそ他の人の恋ですし、行く末を陰から見守っている方が良いんじゃないんですか?」 「……うん。私も同意見って言いたいんだけどね。もう直ぐ夏休みに入っちゃうから、高校最後の夏ぐらい、好きな人と過ごして欲しいなって、妹ながらに思うんだよね」 「ああ、なるほど。そう言う事ですか」 「そう言う事なの受けてくれるかな?」 「そうですね。今回はお断りさせていただきます」 「えーどうして?」 「やっぱり恋愛は本人の意思だと思うので」 僕がそう言った時、扉が開く音がして、僕の言葉は風の様に、どこかへとさらわれてしまった。 「遅くなって悪かったな」 そう言って部室に入ってきたのは、秋斗と姿だった。
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