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「僕達が、どうこうするってなんだか気が退けてな。秋斗はどう思う?」
僕は秋斗に事の経緯を簡単に伝えると、秋斗は終始笑いをこらえている顔をしながら話しを聞いていた。
「そうだな。僕も空斗と同じ意見だよ。ただ野々原先輩の気持ちもわかるって言いたいんだろ?」
「……う、その通りなんですけど」
後から来たはずの秋斗にすべて見透かされているような気がして、僕は少し安心と悔しさを持ってしまう。
「それで、秋斗君、で良いのかな。どう思う?」
秋斗に説明している間も相槌を打って待っていてくれた美咲先輩が空斗に呼びかける。
「そうですね。僕も空斗と同じくお断りさせていただきたいのですが、個人的な意見を話していいですか?」
「うん。なにかな?」
「姉妹二人とも、相談してくるほど仲が良いんですから、もう一度ちゃんと話し合ってみた方が良いと思います」
僕は秋斗から出た新情報に、驚いて彼の方を見ると、その視線の先で秋斗は自慢気な顔で僕の方を見ていた。
「そっか。お姉ちゃん相談してたんだ」
「はい、自分の恋愛なので置いていて欲しいと」
「……うん。分かったありがとうね。空斗君、秋斗君。なら今度は陰ながらとかじゃなく、本人と話し合ってみるね」
美咲先輩は吹っ切れた様に椅子から立ち上がると、善は急げと言うように、荷物を片付け始める。
「そうですね。僕もその方が良いと思います。何かあればまた、探偵部に来てくださいね」
「うん。話聞いてくれてありがとうね。特に空斗君。先輩にもちゃんと、意見してくれるの嬉しかったよ。それじゃあね」
僕の言葉に、美咲先輩は律義に返すと、そのまま嵐の様に速足で部室から出て行った。
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