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「それで先輩の相談って何ですか?」
僕は机を間に置いて、先輩と向き合うようにして座ると先輩と話を始める。
「その前に自己初会した方が良いかな。2年の野々原美咲と言います。よろしくね、探偵さん」
「こちらこそ。遅くなってすみません。1年の西園空斗です」
「大丈夫だよ、空斗君ね。よろしく」
先輩は人の良さそうな笑顔を浮かべて、手を横に振って身振り手振り付きでフォローをしてくれる。
「こちらこそよろしくお願いします。野々原先輩」
「美咲で良いよ。この後の用件でお姉ちゃん出てくるから」
「了解です。なら美咲先輩って呼ばせてもらいますね」
「よろしい。それより探偵部って二人いなかった?」
美咲先輩は僕が、机の上に置いておいた缶ジュースを指さして僕に質問してくる。
「そうなんですよ。まだ来てないんですけどね」
「どうしよっか。その子が来てから相談する?」
「いえ。先輩の手を煩わせる訳にもいかないんで、僕から後で概要を伝えておきます」
「うーん、そうだね。お言葉に甘えさせてもらおうかな」
「はい……それでは今日はどういった御用間で」
僕が気を入れ直して、定型文風に言った言葉に、先輩は心底楽しそうに笑ってから、困り顔を浮かべて話を始めてくれる。
「その……恋愛相談なんですけど」
「恋愛相談ですか、詳しく聞いても良いですか?」
美咲先輩の様にノリに乗ってくれる人が少なかった僕は、嬉しくなってそのままで続ける。
「私の姉の事なのですが、姉の恋を実らせてほしいんです」
「えっと。美咲先輩のではなく。お姉さんのですか?」
僕は先輩から出て来た突拍子の無い言葉に、ロールプレイも忘れて、普通に聞き返してしまう。
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