274人が本棚に入れています
本棚に追加
それから十日間ほど経ち、十二月に入ったある日のこと、レドは二階のベランダの壁に緑のカマキリを見つけた。
逸る心。カマキリなんてどのくらいの数がいるか分からないから、同じカマキリではないのかもしれない。
でも、カマちゃんだと思ってもいいのかな。
違っても気が付かないフリをすれば、きっとまた同じくらい仲良くなれるかも。
レドはスリッパを脱ぐ暇ももどかしく、ベランダに置いていあるサンダルに足を入れ、勢いあまってつまづきそうになりながら、カマキリの傍に行った。
カマキリからしたら、レドが前のめりになって襲ってくるように見えたに違いない。それでもじっとこっちを見ているだけで、カマキリは動かない。
レドはカマキリが逃げなかったことにホッとしながら、片手を上げて挨拶をした。
🐰「(´・ω・`)ノ ヤァ! カマちゃん久しぶり」
首を捻ったカマキリが、片方の鎌を上げる。レドの心臓がトクンと跳ねた。
🐰「えっ? ほんとうにカマちゃんなの? どこに行っていたの。心配したんだから」
カマキリは首を捻るばかりで答えない。でも、良かった。また会えた。
レドは嬉しくて、ブログに行方不明のカマキリと再会したことを書いた。
すると、一人の読者さんからコメントがきた。
👨「カマキリって越冬するんですか? もう十二月なのに生きているんですね」
🐰「!?」
そんな! カマキリは寒いと死んじゃうの?
まだ再会したばかりだよ。今年は暖冬だから、きっと大丈夫。このまま暖かい日が続いてくれれば、きっと、きっと……
最初のコメントを投稿しよう!