大切なものを失くしても……

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 それから十日間ほど経ち、十二月に入ったある日のこと、レドは二階のベランダの壁に緑のカマキリを見つけた。  逸る心。カマキリなんてどのくらいの数がいるか分からないから、同じカマキリではないのかもしれない。  でも、カマちゃんだと思ってもいいのかな。  違っても気が付かないフリをすれば、きっとまた同じくらい仲良くなれるかも。  レドはスリッパを脱ぐ暇ももどかしく、ベランダに置いていあるサンダルに足を入れ、勢いあまってつまづきそうになりながら、カマキリの傍に行った。  カマキリからしたら、レドが前のめりになって襲ってくるように見えたに違いない。それでもじっとこっちを見ているだけで、カマキリは動かない。  レドはカマキリが逃げなかったことにホッとしながら、片手を上げて挨拶をした。 🐰「(´・ω・`)ノ ヤァ! カマちゃん久しぶり」  首を捻ったカマキリが、片方の鎌を上げる。レドの心臓がトクンと跳ねた。 🐰「えっ? ほんとうにカマちゃんなの? どこに行っていたの。心配したんだから」  カマキリは首を捻るばかりで答えない。でも、良かった。また会えた。  レドは嬉しくて、ブログに行方不明のカマキリと再会したことを書いた。  すると、一人の読者さんからコメントがきた。 👨「カマキリって越冬するんですか? もう十二月なのに生きているんですね」 🐰「!?」  そんな! カマキリは寒いと死んじゃうの?  まだ再会したばかりだよ。今年は暖冬だから、きっと大丈夫。このまま暖かい日が続いてくれれば、きっと、きっと……
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