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エピローグ
来贅と綺流が長い時を経て、追い求めた姿に巡り合った。
貴桐さんたちは、元の場所に帰る事が出来た。
そして、貴桐さんの前で消えてしまった呪術師たちが皆戻って来た事は、やはり奇跡と呼ぶべきなのだろう。
塔がなくなると呪術医たちは、自分たちで診療所を開き始めた。
互いに持っているものを共有する事は変わらなかったが、それは以前と違い、ペイシェントを救うという信念の元にあった。
そして僕と圭も、圭の両親が残してくれた診療所の扉を開けた。
侯和さんと亜央も呪術医を続けていると知った。
「圭ちゃん、一夜君。お婆ちゃんが作った薬、持って来たよ」
「ああ、悠理、ありがとう。助かるよ」
圭が悠理から薬を受け取る。
悠理は嬉しそうに、僕と圭を見た。
「二人共、似合ってるよ。白衣」
悠理の言葉に、僕と圭は顔を見合わせて、照れ笑いをする。
あの時、塔から来たペイシェントたちは、紗良さんのお陰もあって、無事に心臓を取り戻す事が出来た。そのペイシェントたちを紗良さんと僕たちで治療を再開し、快方に向かっている。
毎日、忙しくもあった事で、あまり深く考える事をしなかったが、咲耶さんに宿っていた『気』……等為さんと可鞍さんは、消えた呪術師たちが戻って来ても、その姿は消える事はなかった。
……綺流。
僕の中に宿っていた『気』
そっくりだった『彼』は、来贅と共に消えて行った。
新たな命を宿してここにいる僕は、僕であってお前じゃない。
僕の中身がどうであって、この存在がここにある事を僕は……。
俯く僕だったが、圭の視線が感じ取れた。
僕と圭には、同じ印が刻まれている。
巡り合いという、その印が……互いの胸に。
「一夜」
その呼び声に僕は、顔を上げた。
にっこりと笑みを見せて、僕を見る。
「行こう。ペイシェントが俺たちを待ってる」
「うん」
圭が僕を僕だと認めてくれるから。
僕は。
僕の事を知らなくていい。
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