沈む日

6/6
前へ
/6ページ
次へ
 このままだと、いつか世界は終わるかもしれない。  季節は狂っているし、雨は酸のようだ。  だけど人間は存外しぶとくて、黒い大地にも、なんとか種を植えようとしている。  ハイテクは死んだけど、それまでの知識は生きている。  築き上げてきたものは、無駄じゃないんだ。人の頭の中に、生きている。だから、なんとか伝えていける。おばちゃんの知恵袋は頼れないけど。忘れたものもたくさんあるんだろうけど。  だけど無くしたものを泣いているだけじゃ、生きていけない。  今あるものを生かすのことを考えないといけない。  父さん、約束だから。  俺が守るよ。 了
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加