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「あなたは本当に、殺しても死なない人ね」
むくれた様子の彼女が、何年一緒にいてもやはり可愛らしく思えて、ジョロキュアは苦笑して言い返した。
「お互い様だ。女狐どの」
食っても食えないこの女性とは、長いこと狸と狐の化かし合いをやっているようなものだった。いつしかそれが日常になり、命の危機すら感じる夫婦喧嘩もまま行われる。
それでもどうにか生き延びて、毎回毎回仲直りするのだ。
「今回も俺が悪かったから、許してくれ。掃除はやっておく」
「次の休日は買い物につき合ってくださる?」
「どこにでも」
希望に沿う答えを返せば、蜜子はすんなりと受け入れてリビングのほうに戻っていった。それを見届けて、ふむとうなずく。
「一件落着」
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