第二講 「キンモクセイは青春の香り?」

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第二講 「キンモクセイは青春の香り?」

「『秋涼の候、金木犀(きんもくせい)の甘い香りが通学路を包む季節となりました。 渡会くんにおかれましては、いかがお過ごしでしょうか』……」 「また急に突撃してきてはなんで突然手紙を読み始めてるんです……?」 「国語でやったから、つい。 ということで、キンモクセイの香りが通学路を包む季節ですよね渡会くん!」 「え、いや、もう年の暮れもいいとこ……」 「そういうメタ的な発言は禁止だから!」 「め、メタ……?」 「とにかく今は秋ということで、ひとつ質問なんですが!」 「あ、はい……」 「さっき掃除の時間に校舎裏掃いてて疑問に思ったんだけどね。 なんでキンモクセイの香りって、なんかこう、懐かしい気持ちになるんだと思う? 」 「……それをぼくに聞くんですか?」 「聞いてみて損はないかと。 なんかこう、ぐーっと胸になにかがこみ上げてきて、なんというか、ばーっと青春を思い出すようなさぁ……」 「青春を思い出すって、中井さんはいったいいくつですか。 まぁ、言いたいことはわかりますよ。懐かしい気持ちになる香りってありますよね」 「そう、それ! いつも不思議なんだぁ」 「一応、名前がある現象ですけど」 「えっ?」 「『プルースト効果』、って言うんですよ」 「ぷるーすと……?」
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