0-■■■■■-黄金色の瞳

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0-■■■■■-黄金色の瞳

「侵入者!監視部から侵入者有りとの報告!」 窓ひとつない無機質な建物内が騒がしくなった。 「どこから!?警備は何をしてる!?」 白衣を着た中年の男が叫んだ。 「侵入経路、現在地、不明です!3分前に2階北側階段付近の監視カメラに映ったようです。」 「…何者だ……。何が目的だ……。」 白衣の男は呟くと、奥歯を噛み締める。 「くそっ!とにかく捜せ!!」 部下を怒鳴りつけ、机を拳で殴る。 その振動で、机の上にあった資料がパラパラと床に落ちた。 ■■●□●●●■ 「捜せ!出ていった形跡はない!どこかに居るはずだ!」 警備員らしき者たちが見えるだけで数人、あわただしく動いている。 おそらく俺を捜しているのだろう。 物陰に隠れているが、このままではいずれ見つかる。 この研究所、警備員は青の制服、研究員はほとんど白衣を着ている。 対して自分は黒のローブにフードを被り、高性能ゴーグルを着用し顔を隠してはいるが、研究所の中ではかなり目立つ。 「…まったく……。」 面倒だ。そう思いながらため息とともに小さく呟く。 白衣を盗って着れば目立たないだろうが、見つけるのも面倒だ。 それに何かあったときにボロが出てしまう可能性もある。 俺はそのままの格好で人目を掻い潜って進むことにした。 とはいえ、このままでは見つかってしまうし、見つかれば面倒だ。 俺は手の中に雷の魔法をこめ、魔法の小さな球をつくる。 それを警備員のいる更に向こうの廊下めがけて投げる。 ーピシャッバリバリ……… 球は狙ったところで一度跳ねると、高い音と共に弾けて周囲に電撃を飛ばした。 雷魔法[秋花火]だ。 威力を抑えたものの、電撃が当たった者は麻痺し、見てしまった者はしばらくは目が見えないだろう。 それに今の音に注目が集まる。 この間に俺は移動する。 5階中央のメイン研究室前。 雷魔法で監視カメラをハッキングしたり、避ける程でもない数人の研究員を気絶させたりしながらここまで来た。 俺の用事はここにある。 研究内容、過去の研究資料、そして…。 扉の取っ手をつかみ、力を込めて押す。 誰もいないことを確認。中に入る。 おそらく侵入者(俺)の対応で走り回っているんだろう。 好都合だ。 そう思いながら、置いてあるパソコンに手を伸ばす。 相当慌てていたのだろうか、研究資料らしきものが床に散らばっている。 資料にはどれも『No.1037』と書かれている。 と、ふと視線を感じて顔をあげる。 「………!」 奥にある巨大な水槽に、人間が入っている。 様々な管やコードが頭や体に繋がっている。 「こいつは……まさか……」 そいつの目がゆっくりと開いた。 その瞳は俺と同じ、黄金色の瞳をしていた。
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