2-●●■■■-"オリビア"と共に

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水魔法[Leviatano(レヴィアターノ)] アテナが水魔法の(むち)で蜘蛛型バグの脚をまとめて縛ろうとするが、バグはアテナの鞭を右に左にと素早く避ける。 「速すぎる!捕まえられない!!」 …どうする…このままじゃ他の誰かが倒しにくるかもしれない…。 倒されたらオリビアを助けられないかもしれない。 時間はかけてられない。 でも俺の魔法じゃオリビアを傷つけるかもしれない。 …直接当てないように、できるだろうか。 「…いや、それでいいからそのまま攻めて!ルキウス、網の準備を!」 火炎魔法[ファイアートラップ] 俺は地面に向かって魔法を放つ。 大事なのはタイミングと着地点の予測…。 「そこだ!!」 アテナの鞭を避けたバグが、脚を着いた所を狙って魔法を発動させる。 地面の中でトラップを爆発させ、バグの脚を浮き上がらせてバランスを崩す。 「ルキウス!網を!!」 雷魔法[藤黄(とうおう)の網] 網状の雷魔法がバグにまとわりつき、麻痺させる。 そして動きが鈍った所で、アテナの鞭が脚をまとめて縛り上げる。 「捕まえた…!」 バグは脚を左右で一つずつにまとめられ、立てずにもがいている。 「オリビア!オリビア返事して!!」 バグの体に向かってアテナが呼び掛ける。 きっとこの中にオリビアはいるはずだ。 だが返事はない。 もぞもぞとバグが動いているだけだ。 「オリビア、一緒に行こうって言ってたじゃないか…。」 「オリビア…。」 俺達もオリビアの名前を呼ぶ。 何よりもオリビアが戻るのを切望しているのはアテナだった。 「オリビア…私、オリビアのことお姉ちゃんみたいって思ったんだよ…。何かすごく懐かしい感じがして安心したの…。きっと前世とかもっとその前とか、遠いところで姉妹だったって信じてるくらい。…戻ってきてよ。…もう誰も置いていかないでよ…」 アテナの頬を涙がつたう。 オリビアと出会ってからたった1日、それでも俺達にとってオリビアは大事な存在になっていた。 「お願いオリビ」 アテナの叫びを掻き消すようにバチンッと弾ける音がした。 バグが脚の束縛を引きちぎったのだ。 脚を振り上げ、一番近くに居たアテナへ向かって振り下ろそうとしている。 「アテナっ!!」 その時だった。 修復魔法[リペア] 後ろから白い球体状の魔法が飛んできて、バグに当たる。 当たった所が丸く消えてなくなっている。 「サン!待って![リペア]を使っちゃだめだ!!」 白い球体状の魔法はサンの[リペア]だ。 だが[リペア]ではオリビアごと消えてしまうかもしれない。 バグは顔面の辺りを失い、のけ反ったもののまた攻撃を仕掛けようとしてくる。 俺はアテナを連れてその場を回避する。が、 修復魔法[リペア・連] サンは[リペア]をマシンガンの如くバグに撃ち込んだ。 「やめろ!サン!サン!!」 ルキウスがサンの前に立ちはだかって止める。 しかしバグはもう蜂の巣状態だった。 「…そんな…。…オリビア…」 そしてハラハラと細かく崩れて風に流れて行く。 建物の影から風船を持ったさっきのピエロや、さっき逃げて行った人達がこちらをうかがっていた。 夕焼け色に染まる広場に、俺やアテナは膝をつき、ルキウスとサンは立ち尽くしていた。
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