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3-●●●■■-No.666の記憶
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▼LE0
人型バグの後を追って、街の外まで来てしまった。
アテナ、ルキウス、サンの3人はまだ来ない。
辺りは木が繁る林のようだ。
ただ街の周辺ということもあってか、通りやすいように道がある。
人型バグは少し先を歩いている。
あまり遠くまで1人で追うのは危険だ…。
ここで3人を待とう。
俺は立ち止まって、人型バグが遠ざかって行くのを眺めていた。
すると、人型バグの前に蟷螂型バグが出現した。
そしていきなり人型バグに攻撃をしたのだ。
「!!」
思わず駆け寄ろうとしたが、パチンという音とともに人型バグが弾ける光景を最後に俺の体は突然水に沈んだ。
!?池があったのか!?暗くて見えてなかった…!
池にでも落ちたんだと思ってもがいた。
しかし不思議なことに水面にたどり着くことはなかった。
そして急に体が重く、動かなくなる。
視界も暗くなり、なにも見えない。
ゴボゴボゴオゴオという水の音の向こうから、何か声が聞こえる。
「さあ、つ…に……けんNo.666の誕じょ…だ!」
興奮気味にしゃべる男の声だ。
周りから水の感覚が抜けて、体が更に重くなる。
何故だか全く動かせない。
いつの間に目を閉じたのか、目を開く感覚があった。
俺の意思じゃない。
俺の意思では体を動かせないのだ。
視界も耳も水が入ったように全てがぼやけていた。
ここはどこだ?何がどうなった?
ぼやけた視界から情報を得ようとするが、目の前に人が数人いるとしかわからない。
「目や耳に影響が出ているようです。」
何やら話し声が聞こえると、あちこち体を触られる。
間接を動かしたり立たされたり座らされたり…。
目に何か液体を一滴入れられる。薬だろうか。
耳も何かでぎゅーっと内部の水を吸いだしている。
俺は全く体が動かずにされるがままだった。
でもそのおかげか、目も耳も少しよくなったようだ。
音も聞きやすくなって、視界はまだ見辛いが少しはハッキリ見えるようになった。
そして気づいた。
視界に入るこの白い縦線は、髪の毛…そう、髪が白いのだ。
え、まさか池の中で何十年も経ったとかなのか?
意識ないまま老人化したのか!?
俺がショックを受けていると、俺の意思ではなく体が勝手に動いた。
自分の手や体を眺めている。
体には大きなタオルを掛けられているが、老人の体ではない。
おそらく髪が白いだけの若者だろう。
そしてもう一つのことに気づく。
これは俺の体ではない。
誰かの体に意識だけが入り込んだような感じだろうか。
体が動かせないのも、これが俺の体じゃないせいだ。
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