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「……!レオ!」
俺の名前を呼ぶ声で目が覚める。
目の前にはアテナとサンとルキウスの心配そうな顔がある。
自分の意思で体を動かせることを確認して、体を起こす。
謎の記憶巡りのようなものはただの夢だったのだろうか。
長く感じたわりにはそこまで時間は経っていないようで、まだ夜のうちらしい。
「大丈夫か?アテナに呼ばれて足跡を辿ってきたらお前倒れてるから心配したぞ。人型バグにやられたのか?」
ルキウスのその言葉にハッとして辺りを見回す。
あの時立ち止まった所からすぐの場所のようだが、池なんて見当たらない。
あの時確かに水中の感覚がしていたのに。
「…俺…倒れてたのか…?」
「ああ。ここにうつ伏せに。怪我とかはねえけど呼んでも起きねえからどうしたのかと思ってよ。」
服や髪を確認してみても、濡れている感じはない。
あの水中の感覚からすでに夢の中だったのだろうか。
「俺は何ともないと思うけど…。あっ!人型バグ!!あいつ、襲われてたんだ!あっちで蟷螂型のバグに!!」
そうだ、思い出した。
水中の感覚の直前、人型バグが襲われていたのを見たんだった。
しかしその場所には何もなく、人型バグの足跡もそこで途切れていた。
「これじゃ進めないね…。…人型バグ、やられちゃったのかな?」
途切れた足跡を見つめ、アテナが呟く。
もしも人型バグがやられてしまっていたとしたら、俺達の旅も指針を失くしたことになり、おしまいだ。
「また朝になって出直してみよう。あいつは確実に何か知っている感じだったんだろ?そしてそれを教えたがっていたなら、簡単にやられるとも思えない。朝になってから手掛かりを探そう。」
ルキウスの提案で、一度宿に戻ることにした。
「レオ、お前本当に大丈夫なのか?何があったんだよ?」
宿に戻る途中、ルキウスが聞いてきた。
「俺にも何がなんだか。気がついたらあんな所で倒れてたみたいで。」
肩を竦めながらこたえる。
「人型バグが襲われた瞬間までは覚えてるんだけどな。そっから先は変な夢見てた。No.666がどうの、とか。」
あれはただの夢じゃない気がする。
けど夢じゃないなら何だって事になる…。
「…No.666…?」
「?…ルキウス?」
ルキウスは眉間にシワを寄せて、そこから宿に着くまで何も言わなくなった。
■■●□●●●■
▼???
油断した。
バグなんかの攻撃を受けてしまった上に、記憶を垂れ流してしまっていた。
どこまでかわからないが、見られたようだ。
自分の記憶を人に覗かれるなど、気分の良いものではない。
不幸中の幸いは、記憶を見たのが彼1人であったことだろう。
間違っても、自分が"獣"と呼んでいる奴に見られなくてよかったと思う。
とにかくもう一度体を再構築して足跡の続きを付けなければ…。
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