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1-●■■■■-バグ
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「バグ!はっけーん!」
俺は虫の形をして影のように黒い大きな怪物を見つけて叫んだ。
奴らのことを皆『バグ』って呼んでる。
バグの特徴は2つ。
絶対に何かしらの虫の形をしていることと、影みたいに黒いこと。
その生態も何もかもよくわかってないけど、人間を襲うから見つけたら退治するようにしてる。
今見つけたのは犬くらいの大きさの蟻型のバグだ。
小さいけど、村人たちを襲われたら堪らないので退治する。
火炎魔法[ファイアーボール]
俺は手から火の玉を飛ばしてバグに当てる。
バグは火がついて暴れたが、最終的には足を縮めて炭のようになり、細かくなって消えていった。
「おーい、バグ退治終わったんかー。」
そこにやって来たのは親友のルキウス・アウレアだ。
青鈍色の瞳を持ち、黒髪を後ろで1つに結んだ俺より2歳上の青年だ。
「お前そろそろ技名改めたのかよ?」
ルキウスが半笑いでオレに言ってきた。
そう、俺は技の名前を考えるのが苦手だ。
技名というよりそのまま、火の玉だから[ファイアーボール]とか言ってる。
「う、うるせーよ。わかりやすくていいだろ!」
俺は口を尖らせて答えた。
そんなこんなでからかわれていると、ふと気配を感じて振り返る。
「!!バグじゃねーかっ!」
自分達のすぐ後ろに、馬程の大きさの蟻型バグがいた。
そのヤバそうなアゴが俺達を狙っていた。
「やっべぇ…」
攻撃するより先に噛まれる、今からじゃ回避も間に合わない…!
そう思った時、横から魔法が飛んできた。
修復魔法[リペア]
その魔法がバグに当たると、魔法の当たった顔半分が消し飛んだ。
その魔法は、人や物に対して使えば傷を修復するが、バグに対しては大きなダメージを与えることが出来るものだ。
そしてその魔法は、俺とルキウス、あともう一人を除いて全員が使える。
俺達3人はどうやっても[リペア]を使うことができなかった。
ただ[リペア]を使える人達は、それ以外の魔法を使えない。
俺は火炎、ルキウスは雷、もう一人は水の魔法を主に使うことが出来る。
「無事か?2人とも。」
[リペア]を使って助けてくれたのはサンだ。
ここの村の村長の息子で、深緑色の髪に濃い茶色の瞳の俺の1歳上の青年だ。
「とにかく!こいつ、倒すぞ!」
修復魔法[リペア]
火炎魔法[ファイアーボール]
雷魔法[藤黄の網]
ルキウスの放った雷魔法がバグの体にまとわりつき 麻痺させ、俺の火の玉が燃やし、サンの[リペア]が消していく。
3人がかりでようやくバグを倒した。
「助かったー!サン!!ありがとう!」
安堵のため息を吐きながら天を仰いで言った。
「もっと周り見ろよな。」
「いや、さっきまで何もいなかったんだよ。急に出てきやがったんだ。」
そう、ルキウスの言う通りついさっきまで何もいなかった。
バグは神出鬼没。いつの間にかそこにいる。
いつ、どこで、誰が、何が襲われるかわからないのだ。
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