19人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺は見回りに戻る。そういえばアテナがお前らのこと捜してたぞ。じゃあな。」
そう言ってサンは村の見回りに戻っていった。
ここ、スィフル村は小さな田舎村だ。
バグにすぐ対処できるように、俺やルキウス、サンの他、村の大人たちがよく見回りをしてる。
「アテナ、何の用だろうな。」
「さあなー。」
そんな会話をしながら、俺たちはアテナを捜した。
アテナは[リペア]の使えないもう一人で、水魔法を主に使うことが出来る。
・・・・・・
俺がアテナと初めて会ったのは4年前のことだ。
当時俺は11歳。
バグに両親を殺され、住んでいた町も何もかも全て潰された俺は命からがら逃げ延びたものの、行くあてもなくさ迷っていた。
疲労に飢餓感、心もボロボロで もう無理だなぁと感じてその場に倒れた。
目を閉じると、警告音が聞こえるような気さえした。
どれだけそうしていたのかわからなかったけど、ふと声がした。
「…ねえ、どうしたの?死んじゃってるの?」
目を開けると、俺の顔を覗きこむ女の子がいた。
銀色の髪にエメラルドグリーンの瞳。
それがアテナだった。
「ねえねえ、どうしたの?ねえ名前は?」
アテナは返事ができない俺に質問を浴びせてきた。
どうにか指先だけ動かして地面に文字を書く。
「?うーんと、L E 0 ?レオ?って言うの?私はね、アテナ。よろしく!
じゃあレオ、誰か呼んでくるから待っててね!」
それから俺はアテナの住むスィフル村の皆に助けてもらって、そのまま居着いている。
俺にとってはこの村の皆が恩人だ。
・・・・・・
「お、アテナ。」
前方に銀色の髪の後ろ姿が見えた。
「アテナー!何か用かー?」
ルキウスの声にアテナが振り返ったと思うと、こっちに走り出した。
「レオ!ルキウス!どこ行ってたのよ!」
アテナは来るなり俺達の胸ぐらを掴む。
「おおう…落ちつけよ…。」
この気迫で俺の1歳下だとは思えない。
「ちょっと着いてきて!」
アテナは俺達を半ば引きずるようにして歩きだした。
最初のコメントを投稿しよう!