7-■■●●●-No.1037

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7-■■●●●-No.1037

●■■■■□■■■■■□●●●■■□■■●●● ▼LE0 建物までは足跡も消してあり、バグもいなかったので思ったよりも早く着いた。 コーイチの言っていた通り、雨は降らなかった。 建物はコーイチの家で見せてもらった写真の建物そのものだった。 しかし、庭に薔薇はないし、荒野に吹きさらされて少し荒れた状態だった。 窓から内部を覗いても、カーテンが閉めきられていて何も見えない。 玄関にはベルもなく、ノックしても返事はなかった。 「…足跡、ここに繋がってたんだよね?」 俺が聞くとアテナは頷く。 玄関の大きな扉に手をかける。 全員が緊張していた。 グッと力を入れると、扉が軋みながら開いた。 そこにあったのは、誰もいない薄暗い階段ホール。 「すみません!こんにちは!」 挨拶をしてみるが、何の返事もなかった。 しかし、階段横のドアの向こうからガサゴソと物音がした。 ドアの向こうにいるのは人型バグかゲノムという人物か…。 緊張しながら、ドアを開けた。 そこに居たのは人型バグ…ではない。 中年の男の人だ。 人型バグより背が小さいし、何より猫背だ。 人型バグの背筋はシャンとしていた気がする。 そしてまたこの人にも既視感を抱く。 「…おお?おお、おう、おう、おう。」 その人は俺をジロジロと見て、ニヤリと笑う。 嫌な感じの笑顔に、俺達4人は固まってしまう。 「おめでとう!成功したんだな!No.1037!」 嫌な笑顔で、俺に向かってそう叫んだ。 訳のわからないことをと思ったが、何故か俺はこの"No.1037"が俺のことだと理解できた。 「…あなたが、ゲノムさんですか?」 逃げたい、その思いを圧し殺して聞いた。 「ああ!ワタシがゲノム。博士のゲノムだ!」 ゲラゲラ笑いながら、ゲノムは答える。 そして喋り続ける。 「さて、No.1037。…と、そっちにいるのはNo.666…失敗作くんじゃないかあ!?」 ゲノムが指を指したのはルキウスだった。 「成功したかに見えて失敗だった、実験番号すら不吉な獣くんじゃあないか!」 ゲノムは相変わらずゲラゲラと笑っている。 実験とか成功とか失敗とか、いろいろ言っているが、俺にもルキウスにも何の心当たりもなかった。 「アハ、アハ、わかっていない顔だな。じゃあ語って差し上げよう。このゲノム博士がな!」 そしてゲノムから語られる内容は、俺にとって信じがたいものだった。
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