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「ワタシの研究内容は人造人間だよ。つまりはNo.1037、君は人造人間なのだよ。11歳頃までの肉体と記憶を造り上げてとある山道に放置した。それから4年!君は成長してワタシの前に現れた!これを成功と言わずして何と言う!」
ゲノムは鼻息荒く、一気に言った。
そしてルキウスの方を向くと、急にテンションが下がった。
「君は以前のNo.666の失敗から造られた、アレの出がらしのようなものだよ。」
そしてゲノムはまた俺の方を見てゲラゲラ笑い出した。
突然のことに、理解が追いつかない。
『人造人間』?『11歳までの肉体と記憶を造り上げた』?
俺は…俺達は人ではないとでも言っているのだろうか。
「証拠がほしいか?」
俺の心を見透かしたように、ゲノムは言い放った。
「まあ証拠もなにも、両親の顔、思い出せないだろお?親の顔はつくってないからなぁぁぁ!死んだっていう記録だけを記憶として埋め込んであるのだ!最初っから両親など居ないのだよ!」
そう叫んでゲラゲラ、ゲハゲハと笑うゲノム。
俺は気分が悪くなるのを感じた。
ゲノムの言った通り、思い出せないのだ。
両親の顔を。
「ねえ、もうこんなワケわかんない奴の言うことなんて聞いちゃダメ。出ましょう。」
アテナが俺の手を取って外に連れ出そうと引っ張った。
「ところで君は何者かね。黄昏世界の住人ではないようだが、かといってNo.ZEROとも姿が違う。一体君は何者かね。」
ゲノムは相変わらずにやけた顔で、アテナに問う。
「…私は私よ!これ以上ごちゃごちゃ言わないでよっ!」
アテナがゲノムを睨み付け叫んだ。
ゲノムはふーむ、と鼻を鳴らすと真顔になった。
「ならばワタシに話せることはもうない。さっさと行くといい。」
そう言うと、そこからは電源を切ったかのように全く動かなくなってしまった。
これでは謎が増えただけだった。
『人造人間』『No.○○』『黄昏世界』…。
結局バグのことに関しては全くわからなかった。
ゲノムはもう何も話さないので、その部屋を出てもとの階段ホールに戻る。
「…ルキウス、平気か?」
「…ああ。いや、そうでもない。レオは?」
俺は首を横に振った。
アテナにも平気か聞いたが、下を向いたまま答えてくれなかった。
1人だけ何も言われていないサンは、俺達にどう声をかけるべきか迷っているようだった。
建物の外に出ようと思ったが、外は雨が降っていた。
なのでこの建物の中を勝手に調べさせてもらうことにした。
人型バグが俺達をここに導いた理由が他にもあるかもしれないからだ。
4人で手分けしていろいろな部屋を何かないか探す。
しかし何も見つからないまま時間だけが過ぎていった。
諦めようと思ったその時、階段ホールの方からガタンと音がした。
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