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8-■■■●●-わかれ
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▼LE0
「何だったんだろうな。」
サンが建物を振り返りながら呟いた。
「あったのは何とかって子のお墓?とゲノムとかいうワケのわからんことを喋るおっさんだけだったな。」
ルキウスはゲノムの事を頭のおかしな奴だと思うようにしたらしい。
確かにワケがわからないことを言っていたし、あの言葉を信じる証拠もない。
「ねえ、もうスィフル村に帰らない?結局人型バグの目的もわからなかったし、バグの秘密もわからなかったけれど、私達この旅で強くなったしさ!」
アテナの提案にふと気付く。
俺達は人型バグを指針にしていたけど、そいつはどこに行ったんだろう。
足跡もなく、あの建物にも居なかった。
そして居なくなったということは進む道がわからないということだ。
「まあバグのことはわからんかったけど、確かに強くなったからバグから村を守りやすくなったよな~。」
ルキウスも伸びをしながらアテナに賛成する。
サンもこくこくと頷いている。
けど俺は今まで感じた違和感も、オリビアの事も何も解決していないのに帰るのは嫌だった。
俺がもう少し何でもいいから調べてからにしよう、と説得しようと口を開いた瞬間、俺達の前にどこからともなく人型バグが現れた。
『…会ったか?』
思わず身構える俺達に向かって、そいつは現れるなりそう聞いてきた。
「…会ったって何にだ、ゲノムとかいうおっさんか?」
人型バグを警戒しつつ、ルキウスが答えた。
『…そいつにだ。会ったな…聞いただろう。人造人間のことも黄昏世界のことも。』
「あなた一体何者なのよ!?あの変な人の言葉なんて私達信じないから!」
アテナが噛みつくかのような勢いで言った。
『……証拠が必要か?やはり説明しきれていない。不完全だな。』
人型バグは吐き捨てるように言った。
"証拠"という言葉にギクッとした。
それがあるということはゲノムの言葉を信じるということ。
つまり自分は人造人間であるということになる。
『ならば案内しよう。ただし、』
人型バグは俺を指差す。
『行くのはお前1人だけだ。』
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