1-●■■■■-バグ

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アテナについて、村のすぐ外の小山に入る。 「どこまで行くんだよー?」 「しーっ!!」 何かを探すようにキョロキョロしながらアテナは進む。 「居た!」 アテナは小声で叫び、草影からある場所を指差す。 あの場所はそうだ、俺がアテナと初めて会った場所だ。 「あれ、何だよ…。」 草影から覗き見たルキウスがボソリと呟く。 そこに居たのは、バグと同じように影のように黒いものだった。 ただしそれは人の形をしていた。 立った姿でなんかフラフラ揺れてる。 「…バグ…なのか?…でも人型のバグなんて見たことねーよ…」 バグは影のように黒く、虫の形をしているはずだ。 「ね、なんかヤバそうだよね…。どうしよう?」 アテナはあれを見つけて、どうしたらいいか迷って俺達に相談にきたらしい。 まあそんなことされても俺達もどうしていいのかわかんないけど! ジリ…ジジ…ジジ… どこから出ているかわからないが、妙な音をたてて人型のバグが動き出した。 音に紛れて何か聞こえる。 『追いか…て来い。……のショ…タイを知…たければ。』 人型のバグは、村とは反対方向に歩いていく。 「今あれしゃべったよな?俺達気付かれてんのか!?」 草影に隠れたまま、ルキウスが小声で騒ぐ。 「わっかんねえけど、何かの正体を知りたければ追って来いって…。どうする?」 「ねえ、絶対ヤバイよ!バグだし。」 俺達が話し合ってる間にも人型のバグは進む。 ゆっくりだったから見失うことはない。 そう思った途端だった。 ビー…ビビ…ビビ また妙な音がしたかとおもうと、人型バグの歩いた跡から何体かのバグが沸きだした。 (あり)()蜻蛉(とんぼ)などそこそこ大きいものもいる。 「あんなに一度に!?」 「村の方に行かれるとマズイ!」 人型バグに気付かれるのも仕方ない。 バグを倒すために俺達は草影から飛び出し、村を守るように三方に立った。 バグが俺達に気づいて、寄ってくる。 アテナの方に行ったのは、巨大な蟻型バグと小鳥サイズの羽虫型バグが10匹ほど。 ブゥゥゥーンという羽音が耳障りだ。 まずは羽虫型バグのうちの数匹がアテナに向かって飛んでいく。 水魔法[Calabrone(カラブローネ)] アテナの魔法によってアテナの前に水の球が数個浮かぶ。 その球が飛んでくる羽虫型バグを捕まえるように動く。 水の球は羽虫型バグを捕まえると、ぐぐっと小さくなる。 その小さくなる水圧で、中の羽虫型バグをブチっと潰す。 なかなかエグい 。 仲間を潰された残りの羽虫型バグは、蟻型バグの背中に集まる。 すると蟻型バグの背中に羽が生えた。 羽虫型バグと蟻型バグが統合して羽蟻型バグになったようだ。 ただ、羽虫型バグの数と大きさと蟻型バグの大きさの比率が悪かったのか、蟻型バグの大きさの割には羽が小さい。 申し訳程度の飛行しかできなさそうだ。 「かわいそうな姿ね。」 水魔法[Leviatano(レヴィアターノ)] アテナは羽蟻型バグを一瞥すると、水魔法による鞭を一振りした。 バチィンッという音とともに、羽蟻型バグが引っくり返って地面に落ちる。 前の脚を吹っ飛ばしたようだ。 引っくり返ってもがくバグにアテナはもう一度鞭を振るう。羽蟻型バグの頭と胴体を切りはなした。 何よりアテナが怖い。怒らせたらヤバいやつだ。
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