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バグをよく見ると、思っていたよりも体が細長く厚みがあり、カサカサ動く感じはない。
バグなので黒くてわかりにくかったが、あれはヤツではなく髪切虫型バグだ。
少しホッとしたが、あの凶悪な顔と、強そうな顎は侮れない。
しかしこんなところでバグと戦うのは至難の技だ。
研究所の人間に見つかる可能性が高い。
かといってすり抜ける事もできない。
脚を広げた髪切虫型バグは、廊下の幅を塞ぐほどの大きさなのだ。
幸いバグはこちらに気づいていない。
奇襲をかけて倒したいところだ。
火炎魔法[狐火舞踊]
自分の周りに火の玉を15個浮かべる。
これは俺の手の動きに合わせて動く火の玉だ。
手をバグの方に動かすと、火の玉は一列に連なってバグの方に飛んでいく。
そしてバグの前までいくと、バグの脚1本につき火の玉2個を当てる。
残りの3個は腹の下に潜らせて、下から腹に攻撃しようとしたが、潜る前に顎で火の玉を止められてしまった。
髪切虫のような堅い甲虫というのは厄介だ。
何とかひっくり返して腹に攻撃を当てないとあまり効かない。
しかし今ここは建物の中。
侵入中ということもあり派手にひっくり返すことができない。
それ以外の手としては、内部から攻撃できれば効くだろう。
これは動きを封じれば何とでもできそうだ。
バグは6本ある脚のうち4本にかなりのダメージを負ったようだ。
残りの2本も無傷ではない。
バグは脚が使えなくなり床に腹を付く。
これで動きは封じた。
人がいないことを確認しながらバグの前まで移動する。
バグは脚をバタつかせ立とうとしたり、顎をグワッと開いたりしながら俺を見ていた。
動けなくしたとはいえ、この顎で噛まれたら俺の胴体も真っ二つだろう。
火炎魔法[ファイアーソード]
俺は火炎魔法で火の剣を造り出すと、バグの顎に突き刺した。
魔力を籠めて内側から燃やす。
が、燃やし始めるとバグは思いっきり暴れる。
そしてファイアーソードを噛みきってしまった。
長い触覚が揺れている。
激怒したぞ、とでも言いたげな感じだ。
しかしバグは動けない。
反撃もなにもないだろう。
何はともあれ、俺はもう一度火の剣を造り出すことにした。
さっきのものよりもっと頑丈に、高い火力で燃やせるように。
さあ!……………。
火炎魔法[ファイアーソード改]
……スィフル村に帰ったらルキウスに技名考えるのを手伝ってもらおう。
俺は[ファイアーソード改]をまたバグの顎から突き刺し、内部から燃やす。
さっきのダメージもあった為か、今度は噛みきられることなく、倒すことが出来た。
これで階段まで行くことが出来る。
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