9-■■■■●-研究所

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気になっていた番号を見つけたので手を止める。 『No.666が目を開けた。すぐに閉じてしまったが、今までこんなことはなかった。自我が目覚める可能性があるようだ。』 『No.666の自我が目覚めた。己の意志で動いたのだ。これでもう誰も廃棄せずに済む。レイチェルに頼まれていた別空間のことも粗方完成した。その別空間のことを黄昏世界と呼ぶことにした。』 『No.666に異常が見つかった。人間の10倍の早さで老いている。水槽から出して3日しか経っていないはずが、1ヶ月経ったのと同じ状態だ。』 そこから空白、1ページ空けて今度は全く違う字体で少しだけ書かれていた。 『作っていただいた黄昏世界、必ず研究のお役に立ててみます。No.666を解析して作り出した子も黄昏世界に住まわせてみました。でも博士がNo.666と名乗るのを許さないので、"ルキウス・アウレア"と名付けました。もちろんクレアも共に、です。  あなたに届くことはないのでしょうが、感謝しています。ありがとうございました。』 バグ、突然出てきたルキウスの名前、No.666、黄昏世界、クレア…。 今まで聞いてきた言葉たちだ。 ルキウスとNo.666とは一体どういう関係なんだろう。 それに、No.666といえばリクにも関係がありそうだ。 蟷螂(かまきり)型バグに襲われてたときの夢みたいなやつの話をした時『俺の記憶』みたいな言い回しをしてた。 それから黄昏世界…。 ゲノムが黄昏世界の住人がどうとかアテナに言っていた。 これに関してはよくわからない。 別空間?とにかくこれは考えるのは後だ。 そしてクレア…。 この名前はコーイチが言っていた荒野の館に住んでいたという姉妹の妹の名前だったはずだ。 でもこの人はもう亡くなっていて、館にはこの人のお墓があった。 …やっぱりよくわからない。 バグもこの件に関わっているのか…。 日誌の日付は一番最後で4年前。 ルキウスは17歳なのに、4年前の日付で『名付けました』? 同姓同名の可能性も捨てきれないが、そんな偶然があるだろうか。 長々とここで考え込んでいても仕方ない。 俺はまた扉を少し開け、人目を掻い潜りながら進むことにした。
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