10-●■■■■□■■■■■- L E 0

1/6

19人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ

10-●■■■■□■■■■■- L E 0

●■■■■□■■■■■□●●●■■□■■●●● ▼LE0 ようやく五階中央のメイン研究室前までたどり着いた。 他のところよりも大きな扉に、ご丁寧にも『メイン研究室』と書かれているのですぐにわかった。 しかしどうしても気になる所があった。 メイン研究室の手前にある扉が開け放たれている。 まるで誘っているかのようだ。 俺は唇を真一文字に結ぶと、その扉の開いた部屋を覗きこんだ。 中は倉庫のようで、棚に大きな瓶のようなものが並んでいる。 手前の棚の瓶の中には2つの小さな白いボールのようなものが液体の中に浮かんでいる。 よく見るとそれは、黄金色の瞳をした目玉だった。 うげ、と声が漏れそうな口を押さえ、その部屋をあとにした。 何なんだあの部屋、と苦々しい顔をしていた俺は、その部屋につけられたプレートに『材料倉庫』と書かれていたことに気づくことはなかった。 俺は気を取り直してメイン研究室の前に立つ。 俺は取っ手をつかみ、力をこめて押す。 研究室の中を覗きこむと、中には誰もいないようだった。 広い部屋だがここもまた薄暗く、奥の方は真っ暗だった。 よくわからないが機械がたくさん置いてある。 何かに慌てて出ていったのだろうか、資料のようなものが床に散らばっている。 「あ!」 思わず声を出してしまった。 床に散らばっている資料の中に俺の名前である『 L E 0 』の文字を見つけたのだ。 688f4893-9415-43af-b69a-0ec2eca3c5f8 それに近づいてよく見て、絶句してしまった。 その資料、本来の向きは上下逆だったのだ。 逆さまに見たときに書かれていたのは『No.1037』。 ぞわぞわと全身の毛が逆立つ感じがした。 これが俺が人造人間であることの証拠なのか? 最悪だ、自分の名前すら嫌になるなんて。 ふと廊下から人の話し声が聞こえて、我に返って物陰に身を潜めた。 間一髪のところで扉が開いて、白衣を着た研究員数人が入ってきた。 『くそっ…!侵入者はどうなったのだ!!』 先頭にいた者が偉そうに怒鳴った。 あれは…少し雰囲気が違うが、荒野の館に居たゲノムだ。 ゲノムの後ろについてきていた研究員達が焦ったように首を振る。 『申し訳ありません、博士…。まだ見つかっていません…。』 なんだかかなり大事になっているようだ。 俺のせいで怒られていて、ちょっと申し訳ない。 『じゃあどこに行ったというのだ!!一晩も所内にいて、キャンプでもしてるというのか!!!?』 博士と呼ばれたゲノムが、また怒鳴っている。 しかし"一晩"というのはどういうことだろう。 俺がここに入ったのは二時間ほど前で、"一晩"というほど時間は経っていないはずだ。 ゲノムは答えられない研究員達を睨み付けながら歯軋りをして、もういいと吐き捨てるように言った。 そして機械を操作すると、部屋の奥の明かりがついた。 そこにあったのは巨大な水槽。 そしてその中には、人間らしきものが入っていた。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加