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俺は絶対あいつを追いかける。
追いかけて追いついて捕まえて、バグが人を襲う理由を聞き出す。
それを知ればもっとバグに対処しやすくなるはずなんだ。
俺は家に着いた。
もともとは空いていた小さな家を使わせてもらっている。
故郷を亡くした俺に、家族でもないのにスィフル村の皆は優しくしてくれる。
バグに関して何かわかれば、この村を守りやすくなるはず。
旅支度を調えて、明日の早朝にルキウスと落ち合うつもりだ。
■●●●●□■●●●●□■●●●●
▼Lucius
レオがあの得体の知れないものを追いかけると言ったとき、『レオの背中を押す』それが俺のやるべきことだと感じた。
ただ、背中を押すだけのつもりだった。
それなのに何故か「一緒に行く」と言っちまった。
別に行きたくねえわけじゃねえ。
レオのことは心配だが、そもそも一緒に行くって考えがなかった気がする。
でも今は一緒に行くつもりだ。
あいつにはきっと俺の手が必要だ。
バグの攻撃も喰らってたし、あんなのじゃすぐにやられちまう。
レオを初めて見たとき、俺は驚いた。
行き倒れか何かでボロボロのガキが村の診療所に運ばれたって聞いて、冷やかしがてら見に行った。
蘇芳色の髪から覗く黄金色の瞳。
あの瞳に何か得体の知れないものを感じた。
別に悪い感じじゃない。
ただぞっとした。
まあその後レオとは何だかんだ親友と呼ぶまでになった。
俺もレオも[リペア]が使えない同士だったからかもしれない。
今まで俺とレオとそれからアテナ、[リペア]が使えない俺達3人でよく行動してた。
けどもしかしたら、ここから先は俺とレオだけで行動することになるかもしれない。
俺は明日の早朝に向けて、体を休めることにした。
■■●□●●●■
▼???
…体をうまく動かすことが出来ない。
しかもなぜか真っ黒だ。
声がうまく出せないのか耳が聞こえづらいのか、とにかく伝えることもうまくいかないようだ。
…なかなか難しいな。
なんとか始点に辿り着き、近くにいたものに彼を連れてきてもらったが、失敗したかもしれない。
聞こえただろうか?伝わっただろうか?
なにより追ってくるだろうか?
『目が………いる!…そげ!…』
それにしてもあちら側が騒がしい。
こちら側に集中させてもらいたいものだ。
…とにかく今は動くことができないな。
まあいい。
今のうちに、追ってきてもらうための布石をいくつか打っておくか。
奴も彼と共に居たのだ、役にたってもらう。
なあ、"獣"よ…。
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