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▼LE0
目を覚まして外を見ると、朝霧で真っ白だった。
昨日人型バグを見たあの場所でルキウスと落ち合う予定だ。
朝飯を口に放り込んだりして、準備を整える。
そして最後に、目立つところに書置きを置く。
『バグの秘密をさがしてくる いってきます LE0』
スィフル村の皆に言えば、絶対に止められる。
危ないから止めろって言うだろうと思う。
だから言えずに、でも探されたくないしと悩んで書置きにした。
俺が居ないと気づいて、誰かが読んでくれることを信じて。
…みんな怒るかな。
家族でもないのに俺に良くしてくれたスィフル村の皆。
この村の皆が俺の恩人たちだ。
…どうか待っていて。
俺が皆をもっとバグから守るすべを見つけてくるから。
決心を胸に、扉を開ける。
早朝の静けさと、朝霧の白さ。
深呼吸をしてから、ルキウスとの約束の場所へと向けて歩き出した。
それにしたってとにかく視界が白い。
これだけ霧が濃ければ、誰にも気付かれずに村を出られそうだ。
そう考えていたその時だった。
「…待て、レオ。」
急に声をかけられた。
「なっ、おい、誰、って…サンかよ」
見渡すと後ろにサンが居た。
「村を出るんだろ?バグを追って。」
「えっ!なんだよ、何で知ってんだよ…。んー、ルキウスは言わねえだろうしアテナか?アテナから聞いたのか?…んで、止めにでも来たの?」
俺は思わず身構えた。
サンを倒してまで出ていくつもりはない。
この村の誰かを傷つけることはしたくない。
止めに来たと言うなら逃げるまでだ。
俺の言葉にサンはため息を吐いた。
「ふー…。…馬鹿め。お前はバグに対して有効な[リペア]を持ってないだろ。一緒に行くんだよ!」
「!」
意外だった。
誰しもに止められると思っていたから、一緒に行くなんて言われると思ってなかった。
「ほら、お前その腕見せてみろ。」
サンが昨日の火傷に気づいて言ってきた。
見た目ほど痛くはないんだ、と説明しつつ腕を出す。
修復魔法[リペア]
白いフワフワした光がじわじわと火傷を治していく。
「こんなんでお前、この先怪我したらどうすんだよ…。」
「おー!サン、ありがとう。」
呆れたようにため息混じりの文句を言いながらも治してくれた。
サンはやっぱりいいやつだ。
昨日も助けてくれたし、俺のやろうとしてることを止めるんじゃなく一緒に来てくれる。
ありがたいし、嬉しい。
「あっちの小山の中でルキウスと落ち合う予定なんだ。よし、行こう。」
「あ、ルキウスも一緒に行くのか?」
「?ああ。なんかマズいのか?」
「いや、レオ一人で行くのかと思ってたから。」
どうやらサンはルキウスが一緒に行くことを知らなかったらしい。
俺が一人で行くと思っていたようだ。
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