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昨日人型バグの居たところに、見慣れた後ろ姿があった。
「ルキウス!」
「おう。レオ。…と、サン?何でだ?」
ルキウスは振り返り、俺達を見て首を捻る。
「一緒に来てくれるってさ。」
「そりゃ、お前ら[リペア]使えないからな。」
サンが一緒に来てくれることを説明すると、ルキウスも喜んだ。
心強いな、と。
やっぱり[リペア]の使えない自分たちだけでバグを追うのは少し不安だったらしい。
「でもよ、サン。村長の息子が村出てっていいのかよ?俺は家族居ねぇし、レオも流れ者だからいいとしてよ。」
「流れ者ってなんだよ」
「…村のため、人のためだって説明で何とかなるだろ。親父があの書置き読んでくれればな。」
どうやらサンも書置きをしてきたらしい。
そんな説明で何とかなるなんて、父親ってそんなものなのか?
「さて、人型バグの向かった方向なんだが、あっちには街がある。とにかくそこに向かって人型バグの目撃情報や、バグの大群が出たりしてないか聞いてみよう。」
「ああ。」
「おう。」
ルキウスの考えに俺達2人も賛成する。
もう辺りは霧が薄れてきていた。
「ちょっ…と、待ってよ!」
動き出そうとした俺達の後ろから声がした。
この声はアテナだ。
「アテナ、止めたって俺は行くよ。」
俺は振り返らずに答えた。
「………。違う…。」
「え?」
アテナの震えた声に思わず3人とも振り返る。
「…違う!私だけ……置いてかないでよっ!」
水魔法[Leviatano]
「はぁぁ!?」
「やめっ…おい!」
「馬鹿!危ねっ!」
水魔法による鞭を振り回して追いかけてくるアテナから、俺達3人は逃げた。
俺達4人の旅は、こんなマヌケなスタートをきったのだった。
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