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✩.*˚
朝日が昇る前に起きて小屋の周りの確認をした。
獣は近くまで来ているが、危険では無い。
食料があるので匂いに釣られて来ないように、獣避けの匂い袋を用意しておいて正解だった。
あとはミツル次第だ。
あいつはやる時はやる男だ。
きっと大丈夫。
そう自分に言い聞かせ、小屋に戻って暖炉に薪をくべて火をつけた。
部屋が暖かくなってきた頃、ベティが起きてきた。
「おはようございます」
「おはよう、眠れたか?」
そう尋ねるとベティは、こくん、と頷いた。
「寝過ごしていまいました」
「そんなことは無い。
ミツルよりは早いから問題ない」
「でもルイ様に暖炉の用意をさせてしまいました…」
「気にするな、外に出て少し冷えたから暖炉の用意をしただけだ」
使用人である自分の方が遅かったから気にしてるらしい。
それでもまだ外が暗いうちに起きてきてるのだ。
彼女はよくやっている。
「朝飯を作りながら火の番をしてくれ。
私はミツルが山に入る用意をしておく」
「かしこまりました」
ベティは短く答えて自分の仕事をしに行った。
私は荷物から狩りに必要な道具を取り出し机に並べた。
壊れたり壊れやすそうなものがないか念入りにチェックする。
防寒着や靴も穴がないか確認し、防雪用の油を塗って水が染み込まないように用意した。
アンバー王から預かった回復用の魔法道具もすぐに使えるように雑嚢に入っているのを確認する。
これだけ準備をしたのにまだ見落としていないか確認する。
不安だ、大丈夫だろうか…
早く終わらせてくれないと私の方が持ちそうにないな、と自嘲した。
窓から眩しい光が届いた。
一日目の朝がこうして始まった。
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