兎狩り

13/38
前へ
/49ページ
次へ
「ミツル、山に入る前に少し説明することがある」 ルイがそう言ってウエストポーチみたいな袋が左右に付いたベルトを取り出した。 「お前の荷物だ。 大切なものが入っているからちゃんと中身を確認しろ」 彼は袋の中身を机に出して僕に見せた。 「まず、迷子になった時のために位置を確認するコンパスだ。 緑の針がこの小屋を刺す。 万が一迷子になったらこれで戻ってこい。 携帯食料は必ず懐に入れておくこと、雑嚢の中に入れておくといざって時に凍って食べれなくなるからな。 怪我をした時の治療魔法が込められた魔法道具。 これは折ると発動する。 必要な時に使えるようにしておけ。 あとロープを二組、折りたたみのピッケルとスコップ。 雪が氷や岩場に変わった時に必要な時アイゼン…」 「こんなにいるの?」 「遭難を考えればこんなの少ないくらいだ。 お前は沢山持たせても動けなくなるだろうからこれくらいが限界だろうな。 安心しろ、私もできる限り離れないようにする。 目を離すと何をするか分からないからな…」 「兎はどうやって探すの?」 「足跡や糞、食べ物を食べた後を探す方法と巣穴を見つけて炙り出すやり方がある。 どちらも感だな」 「随分ざっくりした説明だね」 「こればっかりは相手次第だ。 半月かかっても見つけられなかった時もあった」 うわぁ…それはキツイな… 「まあ、まだ一日目だ。 今日は天気は穏やかだし、山に入る練習になるな」 ルイはそう言いながら身支度を始めた。 いよいよ山に入るのだ。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加