兎狩り

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✩.*˚ 二日目、三日目も兎は見つからなかった。 朝から昼過ぎまで山に入って、早めに帰る。 帰ったら小屋の雪集めや薪割り、掃除等をするといった具合だ。 何しに来たんだろう… まあ、楽しいから良いけど… 四日目にビック・ペーデスの足跡を見つけた。 「…でかくない?」スノーボード一枚分くらいの足跡が点々と続いている。 「ビック・ペーデスは《大きな足》という意味だからな。 雪に沈まないよう幅広の足と、指の間に水かきのような膜がある。 毛が長いから大きく見えるが、実際は見た目の七割から八割くらいの姿だ」 足跡を辿ると糞も落ちてた。 うさぎらしいコロコロした糞だ。 ミカンくらいのサイズだけど… 「まだ新しそうだ。 近くに巣穴があるかもしれないな」 「巣穴って?」 「この大きさなら少し小さめの洞窟か、人が一人くぐれるくらいの穴がねぐらになってるはずだ。 突然飛び出してくるかもしれないから気を付けろ」 そう言って辺りを確認したが兎は見つからなかった。 「仕切り直しだな… 明日またこの辺りを探そう」 「まだ日が高いから大丈夫じゃないの?」 「冷たい風が吹いてきた。 荒れるかも知れないから撤退だ」 目印を木に結んでルイに急かされるままに帰路に着いた。 四日目の夜は嵐が吹いた。 「明日は様子を見て山に入るかどうか決める。 雪山での無理は命取りだ。 焦る気持ちもあるかも知れんが、とりあえず嵐が落ち着くまで外には出るな」 「なかなかビック・ペーデスが見つからないね。 こういうものなの?」 「見つからない時は見つからないもんだ。 しかし、思った以上に見つからないのは、強い個体がこの辺りを縄張りにして他の個体を追い出したのかもしれん。 そういう場合は危険だ」 「危険なの?」 「《外套》どころか《毛布》が居るかもしれない。 私がお前では倒せないと判断する危険な個体なら引き受けるから安心しろ」 ルイはそう言って、僕に早めに休むように促した。 四日目の夜は風の音が凄かった。 窓ガラスが窓枠ごと揺れる音がずっとしてた。
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