兎狩り

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全然寝れない。気分を変えよう思って、部屋を出た。 「眠れないのか?」 部屋のドアの音で気づいたのだろう。 暖炉の前に居たルイの声がした。 「窓の音が凄いんだよ。 誰かが外から叩いてるみたいな音だから寝られない」 「そうか」 短い返事をしてルイは薪を暖炉に放り込んだ。 パッと火花が散って暖炉の火が薪を食べた。 「暖炉の赤い火に当たれば落ち着いて寝れるだろう。 気が昂ってるだけだ。 焦ると余計に寝れなくなるからな。 この際、兎のことは忘れろ」 「ルイってお父さんみたいだよね。 本当は幾つなの?」 「今年で四十三だ」 「え?!そんな歳!! もしかしてベティも…」 「いや、ベティは十九だったかな… 正確には分からんが、多分そのくらいだ」 狼の顔だからあまり年齢気にしてなかったが、ベティのお父さんと言ってもいい年齢じゃないか!! え?おじさんじゃん! ということは、僕はベティにとんでもなく失礼なことをしたんじゃないか? 「何だ、何も知らずにお節介を焼いていたのか? 私はベティの義母の部下だぞ。 親子ほど離れていてもおかしくないだろう?」 「えぇ?でもベティの事好きなんでしょ?」 「大きな声出すなよ」とルイが耳を寝かせて言った。 つい大きな声を出してしまっていたみたいだ。 「幼なじみみたいな感じだと思ってたから…」 「ああ、語弊があったか? 私も幼い頃陛下に引き取られた孤児だ。 私の一族は元々この国出身ではない。 もっと西の方の国から来た。 元々住んでいた場所は人間に奪われたから、アーケイイックの森に流れ着いた一族だ」
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