兎狩り

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✩.*˚ ドアの閉まる音で目が覚めた。 いつの間にか朝になっていたみたいだ… 毛布を被ったまま外に出る。 凍てつく空気が毛布の中にまで入ってくる。 寒い… 昇り始めた朝日にルイの影が長く伸びていた。 「起こしてしまったか?」 「いいよ。 それより朝日がキレイだね」 夜の青が空から追いやられ、朝日が夕日のような赤を伸ばしている。 夜と朝の狭間の雲は紫色で、縁どりが銀に輝いていた。 純粋にキレイだと思う。 「男同志で見るには勿体ないだろう?」 ルイがからかう。 「ホントにね」と僕が苦笑いで返すと、ルイは昇っていく朝日に視線を戻した。 「これだけは何年経っても変わらない。 初めてここに来た時からずっと変わらない風景だ」 エドナと見た風景を思い出しているのだろうか? 「こんな寒い中何してるんですか!」 家から飛び出してきたベティがこちらに向かって駆け寄ってくる。 身支度を済ませていたが髪だけが解けている。 駆け寄ってくる彼女の姿を見て、ルイが小声で「エドナ」と呟いた気がした。 「寒いのにそんな格好で風邪を引きますよ! それにこんなに無防備な格好で外に出て獣に襲われたらどうするんですか?!」 ベティは僕の腕を掴んでグイグイと小屋に引っ張っていく。 「ミツル様は今日も《兎狩り》に行くんでしょう? 早く顔を洗って、着替えて、朝食を取らないと」 まるで小学校に行く子供の世話をするお母さんだ。 僕がそう思って笑うと「何ですか?」とベティが首を傾げる。 「朝ごはん何かなって」 「大麦のパンとじゃがいものポタージュとベーコンエッグですよ」 当たり前のようにサラサラと答える。 「今日はビック・ペーデス捕まられると良いですね」 ベティがそう言って笑った。 「早く捕まえないと心配したペトラ様が押しかけて来ちゃいますよ」 「うわぁ…それは困る」 意外と行動力あるからな、ペトラ… 双子の弟のイールが必死に止めてるんだろうな… 「早く終わらせないとなぁ…」 僕がつぶやくと、ベティが「そうですよ」と笑った。 五日目の朝が始まる。
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