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✩.*˚
ペルマネス・ニクス山は標高の高い山らしい。
飛竜で向かったが、山の中腹までしか乗れないらしいので途中で降りた。
どうやら雪の上に降りると飛竜は上手く飛び立てないらしい。
「ビック・ペーデスが生息するのはこの先の雪の深い場所だ。
場所によっては胸の高さまで雪が残ってる場所やクレバスもある。
十分注意して進め」
「ルイの胸までって…
僕完全に埋もれちゃうよ…」
「大変じゃなかったら訓練にならん。
私は十四の時にやったぞ」
八甲田山雪中行軍にならないといいけど…
雪に足を取られるから進むのすら思うようにいかない。
雪用の装備は貰ったけど、顔はヒリヒリするし手足は悴んで言うことを聞かない。
苦しくて吸い込む空気も薄く冷たいから肺が辛い…
「ミツル様、大丈夫ですか?」
少し進んだだけでゼイゼイ言っている僕をベティが心配してくれる。
辛い、情けない…
「この先の小屋まで頑張れ。
辿り着けなければ全員死ぬぞ」
ルイからの激が飛ぶ。
そうだ、こんな所で止まってたらその方が危険だ。
山小屋まで何とか進んで、遭難だけは避けないと…
そうは思うもののルイはどんどん先に進んでしまう。
「ルイ様!ミツル様が遅れてます!置いていかれるおつもりですか?!」
「甘やかすな、ベティ。
手を差し伸べるのは簡単だが、それではミツルの生きる力を削いでしまうだけだ。
ミツル、貪欲に生に食らいつけ!
お前が自分で勝ち取らねば意味が無いぞ!」
「分かってるよ!
ちゃんと歩くさ!
ベティ、ありがとう、大丈夫だよ」
これ以上ベティを心配させられない。
雪をかき分けながらルイの背を追った。
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