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やっとのことでエヌ氏のせきがおさまってから、おもむろにケイ氏が切り出した。
「で、今日は何の話だい。まさか読者に会わせたかったわけでもないだろう」
エフ氏の声に、先ほどの勢いが戻って来た。
「そう、この間の六周年記念特大号が好評だったから、次の相談がしたいと思ってね」
三人は、横ならびになってソファに腰かけた。エヌ氏は、こんな壮観を見ることができるのは自分だけかもしれない、と、再び気が昂ってきた。
「でも、その前に……」
エフ氏は、エヌ氏の方をちらっと見やると、足元のかばんをごそごそとあさり出した。
「ああ。あった、これこれ……」
取り出したのは、白いハードカバーの本で、表紙に赤、青、緑の抽象画のような図形がちりばめられ、左上の一画に、漆黒の空間に浮かぶ船団と惑星のように巨大な宇宙船の絵が描かれている。
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