終わりの始まり。

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「はな子は俺のご褒美なんだ。。  10年間介護した俺に、  神様が連れてきてくれた。」 いつも喧嘩をすると健司は言った。 健司もわかってたんだよね? 健司の奥様の美帆さんの病気を言われると、 私が怯んでしまう。 40歳で自宅で倒れた美帆さんを、 最初に発見したのは、 小学5年生の健司の長男さんだった。 学校から帰った彼は、 倒れた母の為に、 救急車と美帆さんのご両親、 つまり、自分の祖父母を呼び、 転勤で東京に単身赴任していた健司に、 泣きながら電話したらしい。 それから、 出世レースから離れ、 地元に戻り、 介護と家事を両立して、 長男と次男を育てた。 半身不随の美帆さんと、 子育てと家事。 双方の親にも頼れず、 必死だったと・・・。 子供達が大きくなり 家事や美帆さんの介護を、 本格的に手伝ってくれるようになり、 健司は週末に、 飲み行くようになったそうだ。 「家に居たくなかったんだよね。  自分の人生設計が全て壊れて、  ずっとこのまま、   40歳から一度も  セックスしないまま終わる人生。…  怖かった。」 いつか、酔って話してた。 もし、私が逆の立場なら… 抱いて欲しい。 と言うと、 病人抱ける? 普通は無理じゃないの? ねえ、健司。 ホテルの朝、 二人で泣きながら、 消したLINEのID。 消したはずなのに 携帯番号が、 私の携帯に登録されてるから、 表示されちゃうんだ。 でも、今度は 本当に消えちゃったの。 ホントに終わりみたい。 4年間の不貞行為。 私達、忘れられるのかな?
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