終わりの始まり。

3/7
前へ
/40ページ
次へ
〜 4年前 秋 〜 「 結婚を続ける秘訣ってなんですかね? 」 今どき珍しい寿退社の仲良くもない同僚の送別会で、 宴会部部長という名誉職を 拝命している私に 独身主任と花嫁の同僚に聞かれた。 「まぁ 適度に浮気する事。」 ヤバイ。 真顔で答えちゃった。 隣にいた同僚の百合子が、 「こらー、はなー駄目だよー」 大きな声で喚いてる。 39歳にもなって、 乙女みたいな百合子に、 少しイラッとした。 「まっ、浮かれた花嫁さんは 放置して、我ら3人で行かない?」 一番年長さんの真由ちゃんが、 私と百合子に、 皆に聞こえないように、 二次会の誘いをする。 私は、 旦那の浮気事件から、 立ち直れず、 ( 指遊び )と名付けて、 浮気を繰り返してた。 そんな最悪な遊びの中でも、 きちんと?!ルールを決めていて、 既婚者とは一度だけ。 これだけは死守していた。 自分がされて、 傷ついた不倫。 相手の奥様には、 悲しい思いさせない。 既婚者と愛も無いのに、 ごちゃごちゃ揉めたくないってのが、 本音かもしれない。 心がおかしくなっていた私は、 それが、 絶対正義のような、 正しいことだと疑わなかった。 3人で、 こっそり抜け出し、 百合子の行きつけという スナックに行く。 すぐそばの雑居ビルの2階。 扉を開けると、薄暗く、 ブラックライトが光る。 カウンターとテーブル席。 10人も入れない小さな店は、 ほぼ満席だった。 「あらーいらっしゃい。」 ド金髪の酒ヤケした声の店員の女の子が 笑顔で迎えてくれた。 ( なんかつまんなそうたな。) いつもの癖で、 身構えてしまう。 「ここ、座って!」 カウンターから、 テーブル席に移ってくれた男性客が、 健司だった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

303人が本棚に入れています
本棚に追加