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その日から、赤坂は昼休み以外にも、俺の席のそばにきて、俺の席の隣のこいつを話すようになった。
イメチェンしたら急に声をかけるようになった赤坂に対してあまりいい気分になれなかった。
いつも放課後部室に向かうとき、赤坂と玄関まで一緒に行く。
「せれなちゃん、お兄ちゃんいるらしいよ。葵と一緒の末っ子ちゃんなんだなー。」
またどうでもいいあいつの話をする。
「水瀬さん、考えすぎだと思うが、たぶん俺のこと好きなんじゃないかって思う。」
赤坂をもともとこの話はする予定だったが、試すような発言をした。
「え?そうなの?ふたりって両思いなの?」
「は?俺はべつにあいつのこと好きじゃないけど!」
「そう、でもなんでせれなちゃんに好かれてると思うの?別の子には好かれてると思うけど。」
「よく俺と話すとき、顔が真っ赤になって、緊張してるんだよ。」
「えー、そうなのー。あんまりそんなところ見たことないや。」
「俺席隣だからわかるんだよ。それに以前は顔ほとんど隠してたから、お前気づかなかっただけじゃない?」
「...そうかもな。」
「あと、電車も車両もいつも一緒なんだよ。そのときも俺と目を合わさずそっぽを向いて、顔を赤くしてるんだぞ。」
「え、すごいね。時間も車両も一緒って。」
「俺は朝練があるから早い時間の電車を使ってる。でもあいつは朝練もないのに朝から電車に乗ってるっておかしいだろ。」
「たしかに、葵目当てで電車をのっているのかも。」
「俺も、こんなこと自分で言いたくないが、そう思う。」
「せれなちゃん、葵の乗る車両と時間どうやって把握したんだろう。」
あ、たしかに。
最初見かけたとき偶然だと思ってた。
だが俺目当てで乗っていたら少し話が変わるぞ。
それって少しストーカー行為にならないか?そわっと背筋が凍り、鳥肌が立つ。
「葵はどうしたいの?」
「え?」
「だから、彼女にしたいの?」
「は?誰があんな女!!ないだろ!!」
声が裏返った。俺は緊張してるのか!?
「ふーん。」
赤坂はいったい今何を考えているんだろうか。
「俺がたしかめてこようか?」
「え?何を?」
またうらがった。
「だから、せれなちゃんの好きな人葵なのかきいてやるよ!」
たぶん本心はそれを望んでいる。認めたくないが。赤坂には何でもお見通しだ。
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