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『...え?』
イヤホンから聞こえる、あっさりとした薄い答え。
俺のことが好きかという問いで顔がリンゴみたいになってパニック状態になるのを予想した。だが、予想がのことが起こった。
俺は通話を切り、教室に戻った。
席のそばに向かう。
「あ、葵。」
赤坂が俺に気づき、隣の席のやつに目を向ける。
さっきまで赤面であっただろうが、いまは赤くなかった。
俺だけこの空間を気まずく感じた。
「あああ、赤坂、、、も、もうすぐ、5限目がはじまるな!」
俺はぎこちなく赤坂とはなした。
額と背中にあせがたらりと流れた。
きもちわるい。
「あ!そうだったな!もうすぐ響谷先生きちまうな!じゃっ!せれなちゃん、さっきのは内緒にしとくね~!」
赤坂もぎこちない素振りで時分の席に戻った。
隣の席のほうをみる。
こいつは淡々と次の授業の準備を始めいた。
なんだよこいつ、電話ではてんぱってた様子だったし、間違いなくゆでダコみたいになってたはずだ。
なのになんだあの答えは。
最初から意識していないような、そんなふうに聞こえた。
だけど授業の始まる今、こいつは頬を少し赤く染めていた。
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