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水曜日、7時30分。
いつもの時間、いつもの車両に乗る。
そしてこいつがいる。いつもみたいに顔を赤く染めて、目をあわせないようにしている。
いつも心の中で笑っていたが、今日はなぜかむかつく。
近くにいるだけでイライラする。
だからはじめて声をかけた。
「水無瀬さん、おはよう。」
こいつは俺のほうを見た。
「っ!あ、星崎くん、おはよう。」
こいつは少し驚いていた。まるで初めて電車であったって顔してる。さらにイラつく。
「水無瀬さん、この電車なんだ。」
「うん、そうだよ。」
もうずっと前から知ってた。
「俺もずっとなんだよ。」
「そうなんだ。いつも同じ学校の人がいるなっておもってたの。星崎君だったんだ。」
嘘だろ、俺だって今まで本当に気づかなかったのか?
「ごめん、実は俺、水瀬さんだって気づいてた。でも水瀬さんって遠いところ見てる感じしてたから。」
「え!そうだったの。気づかなくてごめんね。えーっと身長が高かったから、先輩かと思って、、目をあわせないようにしてたの。」
急におどおどしはじめた。
これは嘘くさい。
いや、半分はあってて、他にも理由があるのだと思った。
「そうだったんだ。でも俺だからもうそんなことしなくていいよ。」
「うん。そうだね。」
「ところでさ、いつも朝早いよね。何してるの?」
「えええ!えっ!べ、別に!!!」
そのとき、電車が急停車し、大きく揺れ、乗車してる人たちがバランスを崩す。
こいつが俺に飛び込んできた。
身体が勢いよく密着する。
うわ、やばい、近い、めちゃくちゃ近い。
やっぱり華奢な身体だった。
しかし、おっぱいが意外とでかいかも。
こいつの髪の毛が鼻にかかる。
うわ、女の子のシャンプーのにおいする。
いい匂い。やばいやばいやばい。
鼻息があらくなり、全身に汗が流れる。
すげー興奮してきた。耐えろ、俺!!!
「ご、ごめん!星崎くん!!」
体制が安定し、すぐにはなれた。
「ううん、それより、大丈夫?」
「星崎君が支えてくれたおかげでわたしは平気だよ。ありがとう。」
安心した顔でお礼を言われ、俺も安心させられる。
急停止したの案内がながれ、その1分後に発射した。学校の最寄り駅についたので、俺たちは一緒にホームに出た。
「こないだ俺、急停止でおっさんにハグされたことある。」
「え、なにそれ、かわいそう。くすくす。」
俺はなぜかまだ緊張していたのだ。
それを紛らわすように笑い話をしながらホーム先の階段を上ろうとしたとき。
「あれ、もしかして星崎と水無瀬か?」
毎日聞いてる声が聞こえた。
そして振り返る。
「...響谷先生。」
俺たちの担任がいた。
なんで先生がここに。
少し嫌な予感がする。
「えっと、先生も40分着のこの電車に乗ってるんすか?」
「ああ、お前たちと一緒みたいだな。すげー偶然。」
俺の予感が確信に変わりそうだ。今度は違う汗が全身に流れる。
「星崎は朝練か?さすがだな。先生、期待してます。」
またイライラしてきた。
「そういえば水無瀬はこの路線沿いの駅だったな。」
「...はい。」
呟くようなか細い声のほうをみる。
顔を真っ赤にして下を向いていた。
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