水無瀬せれなはわかりやすい。

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俺、星崎葵は弓道部で毎日朝練に参加している。 9時に始まる朝のホームルームのぎりぎりの時間まで練習をする。 8時55分前に教室につき、クラスメイトにあいさつを男女関係なく交わし、目が合ったらちゃんとあいさつをいう。 俺はこの学校でハイスコアな男だ。 悪口も愚痴も言わないよう心掛け、陰キャラたちにも平等に接する。 女子にはモテたいから、さらに優しく接する。先生や他クラスの生徒にも愛想をよくし、先輩にもよく可愛がられ、後輩には憧れの存在になってるらしい。 運よく運動も好きだし運動神経も恵まれていて、体育の授業では中心で楽しんでる。 弓道部でもそこそこ結果を出してる。 弓道部の大会でも他校の生徒から声もかけられることは増えてく。 SNSのフォロワーも同じ学校以外に他校生もいる。そう、完璧な男だろ。 2年に上がる前に彼女と別れたが、彼女なんて作ろうと思えばすぐに作れる。 「葵くん、おはよう。」 「星崎、おはよう。」 席に座ると2人の女子があいさつをしにきてくれた。 大人っぽい子が朝倉さんと元気で小柄な子が宮野さん。 「うん、おはよう、2人とも。」 にこっと笑顔であいさつをかわす。 「水無瀬さんもおはよう。」 一人の女子が俺のとなりの席にあいさつをする。 「ぉ、お、おはよう...。」 女子は明るくあいさつをしたが、隣のこいつは内気で声の小さいあいさつをする。 こいつ、この女子みたいに明るく挨拶はできないのか。 「水無瀬さん、おはよう!」 俺は皮肉のように隣の席のこいつのほうに身体を向け、顔と目をしっかりして明るくあいさつをした。 「うん、おはよう。星崎くん。」 隣の席のこいつは、顔を赤く染めて、俺にあいさつをした。 恥ずかしそうに俺を見て、すぐに目をそらす。ああ、また顔に出てて、わかりやすい。 隣の席の水無瀬せれなは俺のことが間違いなく好きだ。 「いつも早いよね。朝何しているの?」 もう一人の女子が水無瀬に聞いてきた。 こいつは俺と一緒の電車に乗りたいがために朝が早い。 しかし俺が朝練中からホームルームまでの1時間弱、こいつは何をやっているんだろうと俺もきになっていた。 「...えっと、...予習とか復習とか。」 恥ずかしそうに答える。 真面目だねーと女子たちが答える。 逆に俺は何言ってんだこいつと思った。 予習復習なんて絶対嘘だ。 ふたりとも、だまされるな!こいつは全然真面目じゃないぞ!
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