みてるだけの朝。

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最後に調べたのは、響谷先生が朝、何時にどこの車両に乗っているかだ。 時間は簡単だった。 学校と学校の最寄駅には徒歩10分の距離で、学校に7時50分に着くという事は、40分に着く電車に乗るということだ。 その時間だったら、私が7時20分に乗る電車だ。先生がいる可能性が高いと思い、その時間の電車に乗った。 同じ車両にいて響谷先生が私に気づいたらどうしようと乗った時から焦っていただが、先生はいなかった。違う車両かな?隣の車両に映りたかったが、平日の朝は混んでいて、移動するのが困難だった。 学校の最寄駅につき、ホームに降りた。 響谷先生はどこの車両なのかと右左と首を振り、姿を探す。 その時スローモーションに世界がゆっくりになった。見つけた。 やっぱりこの時間だ。 先生が車両から出てくる瞬間をしっかりみた。隣の車両の3番目の扉。 そこに朝、響谷先生がいる。 きっといつもこの車両を使うんだと思う。 次の日から私もその時間のその車両に乗ろう。 ああ、今日はいい日になりそう。 鼻歌しながらスキップして登校したい。 口角は上がりっぱなしで口元が緩くなる。 そのくらい朝から嬉しいことがあったのだ。 頬の体温が上がるのを感じた。
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