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7時20分、決めた車両に乗る。
しかし朝から響谷先生に会うことを考えると胸が高まり、緊張が増し、顔が熱くなる。
実はあの日以来、響谷先生とは一度も話したことがなかったのだ。
私がただ遠くから響谷先生を見ていただけだった。だから急に話せないし、今から20分も響谷先生と密集した空間にいるのがきっと耐えきれないと判断し、隣の扉から乗った。
案の定、隣の扉側に響谷先生がいたのだ。
先生、朝から見れて今日も幸せです。
この気持ちを伝えたい。
しかしそれは絶対にできないので、隣から眺めることしかできなかった。
だけど私は響谷先生の姿を見れるだけでこんなに素敵な気持ちになる。
この気持ちはきっと幸せというのだろう。
そう、毎日この車内で響谷先生を眺めることができて、私は朝から幸せなんだ。
響谷先生、ありがとうございます。
響谷先生を朝から眺める日常が始まる。
至福だ。
そう思った1週間後、春休みに入り、1ヶ月間学校に行かなくなった。
1ヶ月も響谷先生の顔を見ることができないのは、とても苦痛で悲しく、憂鬱で、辛かった。たまに響谷先生の最寄駅に降りてマンション付近を散歩していた。
だが、響谷先生に春休み一度も見かけたことがないまま、あっけなく春休みが終わった。
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