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職員室を出て、隣の階段をのぼる。
「水無瀬、次はないぞ。気をつけなさい。」
「は、はい。」
響谷先生は私と一緒に藤田先生に謝罪してくれた。それが申し訳なかった。
担任でも普通ここまでしないと思う。
「先生、すいません。私のせいで先生も謝ることになってしまって。」
響谷先生の背中を見て言う。
「気にするな。これも仕事。」
シンプルな答え。
教師としても答え。
会話はこれで終わり、教室に着いた。窓一面夕日の光が入る。
初夏の夕方は綺麗なオレンジ色。オレンジ色が先生をスポットライトのように照らす。
「じゃあ、水無瀬。気をつけて、さようなら。...ん?水無瀬、どうした?」
はっと我に戻り、慌てる。
私はこの光景を見惚れてしまっていたのだ。
「ぼーっとしてたが、大丈夫か?」
「えっ!はい!大丈夫です!先生、今日はありがとうございました。さようなら。」
急いで荷物をまとめて、教室を出た。
全身に熱がまわり、胸の中はふわふわがいっぱいになった。
幻想的な景色のようで、響谷先生がすごく綺麗だった。
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