みてるだけの朝。

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気がついたらベットにいた。 しかしここがどこかわからなかった。 視界がずっとぼやけてる。 あと顔面と顔が冷たくて痛い。 顔を触る。 アイスパックが顔半分に包帯で固定されていた。 鼻にはティッシュが詰め込まれていた。 状況が理解できない。 さらにメガネがないから全然見えない。 「気がついたか?」 その声、響谷先生だ。どうして? 「はい、ここはどこですか?」 目の前に人影が映る。 メガネがないから響谷先生の顔がはっきり見えない。 不幸中の幸いか、響谷先生の顔が見えないから、いつもみたいに緊張しなかった。 「保健室だ。何があったかおぼえてるか?」 「...体育の授業で...えーと...。」 思い出せなかった。 「スパイクが顔に当たってそのまま気を失ったんだ。」 「...うそ。」 ダサすぎて、絶句した。 だからこんなにアイスパックで顔を冷やし、ティッシュで鼻血を止めてたってことか。 「その時メガネが割れたんだが、目にレンズ入ってないか?」 「はい、目には何も入ってないです。」 「そうか、鼻血だけでよかったな。」 よくはないけど。 全然良くない。 メガネがない。 全然見えない。 「...メガネがないと見えないんです。」 「え?そんなにか?」 「今、先生の顔もぼやけて見えません。」 「そんなに視力悪いのか。」 「...すいません。」 「ご両親は迎えに来れないのか?」 「お父さん、今日は会社の人と会食って言ってて、お兄ちゃんは多分バイト、お母さんはいない...。」 お父さんとお兄ちゃんに迷惑をかけれない。 だけどこれじゃ一人で帰れない。 仕方がない、マンションの隣の夫婦に頼もう。メガネなしでスマホ画面見づらいな。 「そうか、俺が水無瀬を車で送るがそれでもいいか?」 「え...は、い...。」 流れでイエスと返事したが、これってとんでもないイベントじゃない?響谷先生が私を車で送るってなんて神イベントなの!アイスパックが急に溶けて常温に戻った。 「ちがう鼻から鼻血出てる。」 響谷先生が私にティッシュを渡し、逆の鼻の穴にティッシュを突っこんだ。
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