みてるだけの朝。

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響谷先生、手を振った...。 手なんて振るんだ。可愛かったな。 響谷先生を見送ったあと、ぼーっとしながら、自宅に戻った。 家の中は、さっきより蒸し暑く感じた。自室に入る。 クーラーがついていて、心地よい涼しさだった。 私の部屋にさっきまで、響谷先生がいたんだ。涼しい空間にいるのに、体温がなぜか上がる。なぜか気分も高まる。 口元が緩む。 そしてゆっくりと、この響谷先生がいたこの空間で深呼吸する。 自室なのに、別空間にいるようだった。 ルームフレグランスの香りしかないのに、別の香りを感じる。 さらに深呼吸する。 ふわふわな気分になった。 まるで薬みたいだ。 深呼吸を5回ほど終え、部屋を見渡し、クーラーの電源を落として、自室を出た。 リビングのクーラーをつけ、冷蔵庫を開ける。目にすぐ入ったのが、プリンだった。 その隣にはマフィンがある。 そういえば、昨日夜お兄ちゃんが腐りかけのバナナを使って何かお菓子作ってたのを見かけた。 これを作ってたんだ。 プリンとマフィンを一つずつ冷蔵庫から出す。お供に氷いっぱいに入れたグラスにアイスコーヒーをそそいた。 それらをリビングテーブルに運び、別に見るつもりのないテレビをつけた。 どうでもいい番組を見ながら、ぼーっとしながらプリンとマフィンを食べた。 時折、アイスコーヒーを飲む。 そのまま2時間くらいぼーっとしてた。 これが放心状態というものか。
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