みてるだけの朝。

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「お兄ちゃん、彼女いないの?」 「えっなんだよ急に。」 「お兄ちゃんって以外と人気があるって麻夜くんがいってたよ。」 麻夜くんとは、お兄ちゃんの大学の友達。 よく家に来て私も仲良くしてもらってる。 「そうなの?まじかー。俺、そうなのか。へへへ!でも、そんなことないと思うけどな!麻夜適当なこと、せれなちゃんにいってるだけだって!」」 にやけるお兄ちゃん。とても嬉しそう、わかりやすいな。 「麻夜くんは本当のこと言ってるよ。麻夜くんは私に嘘なんてつかない。よかったね。」 さらにぐいぐいとビールを飲む。 グラスにビールがなくなり、私はビールをついだ。 「せれなちゃん、ありがと。」 ついだビールをさらに飲む。 空になったから、また冷蔵庫にビールを取りに行った。 「せれなちゃん、いいよ、俺が取りに行くって。」 「いいの、クラッカー用意してくれたお礼。明日土曜日だから、たくさん飲んだら?お父さんも2次会で遅くなるって連絡きた。」 2缶ほど持ってきた。一つ開けて注ぐ。 「サンキュー。」 「話戻すけど、彼女いるの?」 「いや、いないけど。」 「最後にいたのはいつなの?」 「えーと、確か…。」 お兄ちゃんはお酒が好きで、弱い。 しかも飲むとベラベラと話す。 だから私はグラスにビールをなんどもそそぎ、お兄ちゃんの恋愛を聞いた。 出会いから別れるまで、隅々に質問する。 今まで付き合った全ての彼女のこと、お兄ちゃんは全て答えた。 今まで付き合ってきた彼女が6人もいて驚いた。 私はまだ0人。 認めたくないが、本当に人気者だったんだ。 本当にまじで心底認めたくない。 突然始める恋やお兄ちゃんの片思い物語など甘酸っい話から激甘々な話まで結構魅力的な話ばかりだった。 あと、聞いてもない話、どうでもいい話、自慢話が時折挟んできたのは、うざかった。 そしてビール2缶をすぐに飲み終え、顔がもう真っ赤っかでゆでタコみたいだ。 でもまだ聞き足りなかった。むしろここからが本題だった。 だから私はコップ一杯の水とハイボールを用意した。お兄ちゃんは水を飲んだあと、ハイボールを飲んだ。 またすぐになくなる。 そしてもう一度ハイボールを作る。 今度のハイボールは最初のより濃いめに作った。 それも飲む。 これでお兄ちゃんは出来上がった。 このお酒で出来上がったお兄ちゃんは全て躊躇なく話すのだ。 そして次の日忘れる。 私はこの機を持っていた。 「お兄ちゃんって、セックスいつしたの?」 この質問をしたかった。 言った自分がとても恥ずかしかった。 普通妹は兄にそんなこと聞かない。 だけどお兄ちゃんの初体験を知りたかった。 というよりか、どのタイミングでみんなセックスをするんだろう。 私は響谷先生とは付き合っていないが、その後のことばかり考えてた。 「あー、高校1年の時だっけ。確かリナたんだったな〜。」 え、16歳の時なの。早い。 「どこで?うちに彼女連れてきたことないよね?」 「えー、と、彼女んち、だったと思う〜」 多分私に気を使ってうちを選ばなかったと思う。 「付き合ってどのくらい経った後、やったの?」 「2ヶ月後だったなー。俺の誕生日だったから、今でも覚えてるんよ〜めっちゃ嬉しかった〜」 早い。 でも普通なの? もしかしてクラスの半分以上はもう非童貞、非処女なのだろうか。 私が遅いのだろうか。 「あの清純派のリナたんが、黒いレースのブラとパンツを…ああ、やばかったな〜」 「レースがいいの?」 「黒のレースは半端ないよ、せれなちゃ〜ん。男は大半黒のレースにやれらちゃうよ〜」 へえ。黒のレース、か。明日帰りに買いに行こうかな。 「聞いてよ、せれなちゃ〜ん!!!」 「え?どうしたの?」 「お、俺ね、実は、高校卒業の時ね、ううう、ぐすっ。」 急に鼻水をそそるお兄ちゃん。目を見ると涙ぐんでいた。 「誰にも言ったこと、ないんだけど、内緒にしてね?」 「うん。」 何の話だろう。 ずっと恋愛の話してきたから、もちろん恋愛の件だよね? そんなに悩むようなことあったの? 何かやらかしたの? ドキドキする。嫌な意味で。 「実は、卒業式後に同じクラスの男子に告られたんだ。うううう…」 意外な告白だった。 「詳しく教えて。」 なぜかお兄ちゃんの同性恋愛について興味が湧いたので、また根掘り葉掘り聞き始め、お兄ちゃんは泣きながら全て話してくれた。
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