みてるだけの朝。

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お兄ちゃんがなぜ、泣いていたかというと、男子に告白されて、ひどい断り方をしたことを今でも悔いているというのだ。 男子に告白されたのも初めてで、このことは今私以外誰にも言ってないようだ。 お兄ちゃんはカミングアウトしながらわんわん泣いだ。 「お兄ちゃん、話してくれてありがとう。」 お兄ちゃんの頭を左手で撫で、背中を右手で撫でる。 「せれなぁぁ、、、ちゃああん」 飲ませすぎたかな。 ごめんね、お兄ちゃん。 「ただいま〜日向ちゃん、せれなちゃん!」 玄関から声が聞こえた。 お父さんが帰ってきた。 時計を見たら12時半を過ぎていた。 もうこんな経ったんだなんて。 リビングにお父さんが見えた。 お父さんも顔が赤くなって、少しフラフラしてた。 弱いのにまた無理して飲んだんだな。 ベロベロに酔ってるお兄ちゃんを見たお父さんは私の方を見る。 「せれなちゃん、また、日向ちゃんにたくさん飲ませたの?」 「ううん、違うよ。」 「嘘でしょ。」 即バレだった。 なんどもお父さんの不在中にアルコールでつぶしたことがあるのをお父さんは知ってる。 お兄ちゃんは自分からベロベロになるまで飲まないので、家でつぶれてたら、私がつぶした事しか考えられないのだ。 お父さんはキッチンに行き、冷蔵庫から水のピッチャーを取り出した。 キッチンカウンターにあるウイスキーをじっと見て溜息をする。 「もう、こんなにウイスキーが減ってるし。せれなちゃんも飲んでないよね?」 「飲んでないよ。」 お酒に弱いお父さんとお兄ちゃんが酔っ払ってるところを見ると、お酒なんて飲みたいと思わない。 きっと私も二人のように弱いんだと思う。 お兄ちゃんを見ると、さっきまで泣いてたのに今はすやすやと寝ていた。 お父さんと一緒にお兄ちゃんをソファに寝かす。 「せれなちゃん、今日担任の先生から留守電入ってたんだけど、大丈夫?連絡できなくてごめんね。」 「メールしたようにたいした事ないよ。それにお父さん、電話できなかったの知ってるし。大丈夫だよ。怪我もしてないよ。」 目立つような怪我をしてないし、さらに心配をかけたくないから嘘をついた。 少し会話を交わし、お父さんはシャワーを浴びに行った。 1時を過ぎていた頃、急激な眠気が襲ってきた。そろそろ寝よう。 シャワーを浴びたお父さんもそのまま自室に戻って寝ると思う。 お兄ちゃんを顔を軽く叩く。 「お兄ちゃん起きて。自室に戻って。」 爆睡してた。 もう何も聞こえないんだろう。 起こすのを諦めた。 だから自身で起きてもらう事にした。 私はクーラーを消し、リビングを出た。 30分以内にはリビングは暑くなって、寝苦しくなり起きるだろう。 おやすみなさい、お兄ちゃん。 ちゃんと自室で寝てね。
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