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教室の後ろドアをゆっくり開けたが、その音は教室に鳴り、全クラスメイトの視線は私に刺さった。
どんな形でも大勢の視線を浴びるのは苦手で緊張するし、困る。
クラスメイトはこそこそ話してる子もいれば、きょとんとしてる子、目が点になってる子もいた。ゆっくりと響谷先生の方を見る。
そして、目が合い、顔が熱くなる。
「あ、あの、遅れました。先生、すいません。」
「ああ、水無瀬。今始まったばかりだ。席に着きなさい。」
「は、はい。」
クラスメイトの視線に耐え、自分の席に向かう。
とても緊張する。
「みんな静かに。」
響谷先生は会話をしてるクラスメイトに注意をし、私は席に着いた。
「お、おはよう。」
隣の席の星崎くんが挨拶してきた。
「う、うん。おはよう。」
まじまじと珍しいものを見たかのように、星崎くんは私の顔を見る。
「ねえ、メガネどうしたの?」
「ああ、コンタクトにしたの。コンタクト全然入れられなくて、遅刻しちゃった。」
こんな理由で遅刻するだなんて、情けなくて恥ずかしい。
今日帰ったらすぐにコンタクトを入れる練習をしよう。
少し早めに寝よう。
そして明日はちゃんといつもの時間で家を出よう。
数学が終わって、10分休憩が始まった。
次の授業の準備をすると、私の席に長身の女子がやってきた。
えーっと確かこの子は、名前が出てこない。
「水無瀬さん、金曜日はごめんね!メガネも割っちゃって、怪我もさせちゃって、大丈夫?本当にごめん。」
そうなんだ。
あなたのスパイクで私は倒れたんだ。
全く気にてなかったし、考えてもなかった。
「あの、私全然気にしてないから、大丈夫だよ。」
むしろあなたには感謝してるのだ。
あなたのおかげで響谷先生の神イベントが生まれたのだから。
「ありがとう。ごめんね。これ、お詫びにはならないけど、フィナンシェを焼いたの。よかったら食べてね。」
小さなかわいい柄の小包をもらった。
ほのかにバターの香りがする。
「いいの?嬉しい。ありがとう。」
嬉しかった。
このフィナンシェは昼食後にいただくことにしよう。
「水無瀬さん、前髪切ったんだね。似合ってるよ。」
「そうかな、なんだか落ち着かないよ。」
すぐに予鈴が鳴り、彼女や他のクラスメイトは席に戻った。
そろそろクラスメイトの名前覚えないと。
最低でも女子は覚えよう。
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